「たかが風邪」のはずが…ヒトに牙をむいた〈コロナウイルス〉【東大医科学研究所感染症国際研究センター長・監修】

「たかが風邪」のはずが…ヒトに牙をむいた〈コロナウイルス〉【東大医科学研究所感染症国際研究センター長・監修】

2019年12月以降、瞬く間に世界へ広がった新型コロナウイルス。数種類の存在が知られるコロナウイルスも、以前は「ただの風邪ウイルス」程度の認識でしたが、21世紀に入り、突如として致死率の高いSARSコロナウイルス、MERSコロナウイルスによるアウトブレイクが発生。従来の認識が一変します。※本記事は、川口寧氏監修の書籍『感染症時代の新教養 「ウイルス」入門』(実務教育出版)を抜粋し、再編集したものです。

新型コロナウイルスの発生とパンデミック

そして2019年12月以降、中国湖北省武漢市で肺炎患者の発生が報告され、新たなコロナウイルスが分離されました。これはSARSコロナウイルスに似ていたため、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2、サーズシーオーヴイ〈またはコヴ〉ツー)と命名されました。また、WHO(世界保健機関)はこのウイルスによる感染症をCOVID-19(コヴィットナインティーン、2019年発生のコロナウイルス感染症の意味)と決めました。

 

日本では一般にウイルス名を新型コロナウイルス、その感染症を新型コロナウイルス感染症と呼ぶことが多いのは、ご存じの通りです。

 

[図表2]ヒトに感染する7種類のコロナウイルス

 

発生当初は、ウイルスがSARSと似ていることから、SARSのように地域限定的なアウトブレイクで終息するのではないかという予想もありました。しかし、予想に反して感染者は中国から世界中に短期間で広がり、2021年12月までに世界で感染が確認された人は約2億8000万人、死亡者は約540万人となっています。ですから、SARSやMERSとは感染力や病原性において、明らかに異なるウイルスだといえます。

 

メディアでくり返し報道されてきた通り(実際に感染して経験された方もいらっしゃるでしょう)、発症後1週間程度は高熱、喉の痛み、咳など風邪やインフルエンザのような症状が現れます。味覚や嗅覚に障害が出る人もいます。

 

8割の人はそのまま治癒しますが、高齢者や高血圧、糖尿病、心臓病、腎臓病などの基礎疾患がある人は肺炎を起こして重症化しやすく、死亡率は2~3%とされています(ただし、全世界的なワクチン接種が進めば、この死亡率は下がることが予想されます)。

 

子どもへの感染も確認されますが、症状が出なかったり軽症だったりすることが多く、子どもを介した高齢者への伝播が問題視されています。

 

さらに、ウイルスが体内から排除された後も倦怠感や息切れなどの後遺症が残るケースもしばしば報告され、そのメカニズムについて研究が続けられています。

 

 

川口 寧
東京大学医科学研究所 感染症国際研究センター長

 

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※本連載は川口寧氏監修の書籍『感染症時代の新教養「ウイルス」入門』(実務教育出版)を抜粋し、再編集したものです。

感染症時代の新教養 「ウイルス」入門

感染症時代の新教養 「ウイルス」入門

川口 寧 監修

実務教育出版

本書は、「ウイルス」を病気を起こすという悪玉的側面だけでなく、ウイルス感染症が引き起こす社会現象、社会変化が引き起こすウイルス感染症、感染することによって宿主に益をもたらす善玉ウイルス、調教ウイルスによる病気の…

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