新型コロナウイルスの発生とパンデミック
そして2019年12月以降、中国湖北省武漢市で肺炎患者の発生が報告され、新たなコロナウイルスが分離されました。これはSARSコロナウイルスに似ていたため、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2、サーズシーオーヴイ〈またはコヴ〉ツー)と命名されました。また、WHO(世界保健機関)はこのウイルスによる感染症をCOVID-19(コヴィットナインティーン、2019年発生のコロナウイルス感染症の意味)と決めました。
日本では一般にウイルス名を新型コロナウイルス、その感染症を新型コロナウイルス感染症と呼ぶことが多いのは、ご存じの通りです。
発生当初は、ウイルスがSARSと似ていることから、SARSのように地域限定的なアウトブレイクで終息するのではないかという予想もありました。しかし、予想に反して感染者は中国から世界中に短期間で広がり、2021年12月までに世界で感染が確認された人は約2億8000万人、死亡者は約540万人となっています。ですから、SARSやMERSとは感染力や病原性において、明らかに異なるウイルスだといえます。
メディアでくり返し報道されてきた通り(実際に感染して経験された方もいらっしゃるでしょう)、発症後1週間程度は高熱、喉の痛み、咳など風邪やインフルエンザのような症状が現れます。味覚や嗅覚に障害が出る人もいます。
8割の人はそのまま治癒しますが、高齢者や高血圧、糖尿病、心臓病、腎臓病などの基礎疾患がある人は肺炎を起こして重症化しやすく、死亡率は2~3%とされています(ただし、全世界的なワクチン接種が進めば、この死亡率は下がることが予想されます)。
子どもへの感染も確認されますが、症状が出なかったり軽症だったりすることが多く、子どもを介した高齢者への伝播が問題視されています。
さらに、ウイルスが体内から排除された後も倦怠感や息切れなどの後遺症が残るケースもしばしば報告され、そのメカニズムについて研究が続けられています。
川口 寧
東京大学医科学研究所 感染症国際研究センター長
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