
致死率が非常に高い恐ろしいウイルスには、コウモリやイヌ、ネコといった身近な動物から感染するものもあります。日本では1957年以降国内の感染例がない狂犬病も、日本を含めたごく一部の国を除き、全世界で発症が見られるなど、十分な注意が必要です。※本記事は、川口寧氏監修の書籍『感染症時代の新教養 「ウイルス」入門』(実務教育出版)を抜粋し、再編集したものです。
世界に分布するコウモリは「ウイルスの貯水池」
適切な治療がなされない場合の致死率は50%~90%、「人類史上もっとも危険なウイルス」とも称されるのが、エボラウイルスです(『恐怖…人類史上もっとも危険とされた「エボラウイルス」とは?』参照)。
エボラウイルスが普段潜んでいる自然宿主は、コウモリである可能性が指摘されています。
アフリカでは、エボラに感染して発症または死亡したチンパンジー、ゴリラ、オオコウモリ、サル、森林に生息するレイヨウ、ヤマアラシなどの熱帯雨林に生息している野生動物を扱い、血液、分泌液、臓器、その他の体液に濃厚接触することで感染した事例が記録されています。
他にもコウモリが自然宿主であり、コウモリから人間に感染したと考えられているウイルスには、SARSウイルスや新型コロナウイルスもあります。狂犬病ウイルスも、もともとコウモリが持っていたウイルスだと考えられています。
コウモリはさまざまなウイルスを体内に持つことから「ウイルスの貯水池である」という人もいます。コウモリは種類が900種と多く、世界中のさまざまな地域に分布しています。そして比較的原始的な哺乳類であり、多くの哺乳類の遺伝的特質の原型を持っています。
そのため、コウモリはさまざまな哺乳類のウイルスを溜めやすいのです。こうしたコウモリを食用に捕獲したり、あるいは自然破壊によって森を追われたコウモリが都市部に棲みつくようになったりして、人間へのウイルス感染が起こり、新たな人獣共通感染症が発生していると考えられているのです。
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