海外不動産で失敗…よくある原因は?
しかし投資である以上、リスクはつきもの。海外での投資では日本では考えられないトラブルに巻き込まれることも珍しくありません。
海外不動産、特に新興国での不動産投資では、投資した物件が完成しないというトラブルに見舞われるケースがあります。
新興国の不動産投資では「プレビルド方式」が一般的。プレビルドとは、新築物件の建設中に、建物代金の一部を支払うという購入法で、新興国では主流になっています。販売開始時には価格が割安に抑えられていますが、工事が進むとともに価格が上昇し、完成すると同時に売却すればキャピタルゲインが得られる、というメリットがあります。
しかし不動産会社やディベロッパーの倒産などにより、プロジェクトが頓挫。そうすると、すでに支払ったお金は戻ってきません。成長著しい新興国では、小さなディベロッパーが中心地の不動産開発を手がけていることも珍しくはなく、好立地であることから、企業規模や実績などを精査せずに投資するケースが見られます。その国に精通しているという自信がないのであれば、地元の大手ディベロッパーや日系企業が参画しているプロジェクトに限るほうがいいでしょう。
またプレビルドの物件は、投資効率が劣る、というデメリットもあります。完成している物件への投資であれば、入居者が決まり次第家賃収入が入ってきますが、プレビルドの場合、完成まで時間がかかり、家賃収入が入ってくるまで時間を要します。プロジェクトが遅延することも珍しくなく、予定よりも家賃収入が減る可能性が高いのです。最近は完成前から家賃を保証するプロジェクトも。もちろん、条件面など十分に比較検討して判断する必要があります。
さらに海外不動産投資のリスクといえば、カントリーリスク。政権交代、紛争などを機に物価や貨幣価値が激変。不動産価値が大きく下落することが考えられます。
たとえば2009年のギリシャ危機。政権交代により国家財政の粉飾決算が明るみとなり、ユーロ圏全体を巻き込みました。ギリシャ国債の格付けは大きく大きく下がり、投資家も大きな影響を受けました。
またアセアン諸国でも、タイの反政府デモ、ミャンマーの政変など、日本人に身近なアセアン諸国でも、まさかの事態が起こる可能性はあります。
海外不動産投資には、国内不動産投資以上のリスクが内包しています。そのリスクを許容できることが、投資に向けた第一歩となります。また法律も慣習も異なる国で個人が投資を行うことは非常に難しいことです。そのためパートナーとなる不動産会社、仲介会社の存在が不可欠。それらの会社がどれほどその国に精通しているか、見極めることが重要です。
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