(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産の「登記簿謄本」にはさまざまな項目が記載されていますが、不動産オーナーであっても正しく理解している人ばかりではなく、所有権移転登記後に取得できる「登記識別情報」と登記簿謄本との違いがよくわからないといったケースもあるようです。本記事では、複雑なルールが混在する登記簿謄本の記載項目のなかでも、とくに誤解されやすいポイントを中心に解説します。

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    登記簿謄本の構成要素

     

    登記簿謄本は表組になっており、「地番」「地積」「家屋番号」など見慣れない項目が並んでいます。地積については「土地面積のことかな?」と推測できますが、いつ誰がどのように測定した面積なのでしょうか? また「土地」「建物」「一棟の建物」と、登記対象となる不動産の形態によって登記簿謄本の雛形が変わることも意外と知られていません。

     

    ★土地の登記簿謄本:更地または建物が建つ敷地のみが対象

     

    ★建物の登記簿謄本:戸建住宅やアパートなど建物のみが対象

     

    ★一棟の建物の登記簿謄本:分譲マンションなどの一棟の建物(敷地権区分所有建物)が対象となり、土地と建物の登記簿謄本が一本化

     

    不動産を買うにも売るにも、登記簿謄本の見方がわからず重要事項の見落としがあっては大損害を招くことになります。ここでは、登記簿謄本のなかで誤った解釈をされがちな項目に的を絞って解説していきます。

     

    土地(表題部)

    地番

    登記簿上の所在地表示であり、郵便などで使われる「住居表示(住所)」とは異なります。

     

    地積

    土地面積の表示であり、「公簿面積」とも呼ばれます。そのほとんどが明治時代の測量数値を根拠としており、現況の土地面積と合致しないことがほとんどです。正確な土地面積(実測面積)を知りたい場合は、土地家屋調査士などに測量を依頼する必要があります。

     

    建物(表題部)

    所在

    土地の地番とほぼ同じですが、たとえば地番が「一丁目2番3」の土地上の建物の場合、所在は「一丁目2番地3」となり、“地”が付け加えられます。

     

    家屋番号

    建物の個別番号です。地番のあとにその建物の番号が付きます。地番が「一丁目2番3」の場合、家屋番号は「2番3の〇(=数字)」となります。同じ地番に建物が複数建っている場合は、この個別番号が「2番3の1」「2番3の2」「2番3の3」…と新築順に数字がふられます。建物が取り壊されても家屋番号は永久欠番となるため、末尾はどんどん大きい数字になっていきます。

     

    一棟の建物(表題部)

    家屋番号

    住戸の個別番号です。一棟の建物では、地番の末尾に部屋番号などの個別番号が付きます。たとえば地番「一丁目2番3」に建つマンションの305号室なら、家屋番号は「2番3の305」となるのが一般的です。

     

    床面積

    住戸の専有面積が表記されます。ここでは、不動産広告などに掲載されている「壁芯面積」ではなく、住戸の壁の内側で計測した面積(内寸)を採用しています。

     

    敷地権の割合

    住戸の土地持ち分割合が記載されます。たとえば敷地面積500m2、延べ床面積1,000m2のマンション内にある専有面積(壁芯)30m2の住戸の場合、敷地権の割合は「1,000分の30」となり、土地持ち分面積は15m2(500m2÷1,000×30)となります。

     

    権利部(土地、建物、一棟の建物共通)

    甲区

    所有者に関する情報が表記されます。不動産譲渡のたびに「所有権移転」の登記がおこなわれるほか、所有者の住所や名前など所有者情報の変更もこの欄に記載され、変更前の古い情報には下線が入り抹消扱いとなります。

     

    乙区

    所有者のローン借入状況(抵当権・根抵当権)や税金未納差押などの情報が記載されています。所有者がローンや税金などを完済すると該当する情報に下線が入り抹消扱いとなります。所有者の債務不履行で不動産の競売が実行された場合は、「順位番号」上位の債権者から優先的に返済が行われます。

     

     

    ※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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