ウクライナ情勢の緊迫化から下落
日経平均株価は2万6,000円割れ
■2月最終週の日本株式市場は、TOPIXが前週比▲2.5%、日経平均株価が同▲2.4%と2週連続の下落となりました。ウクライナ情勢の緊迫化が主因で、日経平均株価は24日に2万5,970.82円と2万6,000円を割り込み、年初来安値を更新したものの、25日には緊張が一旦落ち着いたことなどから大幅に反騰するなど、激しい値動きとなりました。週明けの28日は、ロシアとウクライナの交戦が激化し、西側諸国がロシアの一部銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除する新たな経済制裁が発表される中、堅調に推移しました。
業績回復期待は維持されている
景気敏感セクターの業績が上振れ
■3月決算企業の10-12月期決算(TOPIX除く金融ベース)は当期利益が前年同期比+12.5%と堅調でした。1-3月期は外部環境が極めて不透明なため、業績への悪影響が懸念されますが、足元のリビジョン・インデックスを見る限りは堅調を維持しています。特に景気敏感セクターの鉄鋼の同インデックスは上振れており、機械なども好調です。電気機器や輸送用機器の同インデックスも反転し始めており、業績に対する期待が継続している点は安心材料です。
割安圏での値固めが進もう
■TOPIXは、ロシアによるウクライナ侵攻が伝えられた2月24日に日経平均株価と同様に下落しましたが、年初来安値を更新せずに踏みとどまりました。TOPIXは国内景気に対する期待から値固めが進んでいるとも考えられます。こうした局面下でTOPIXの12ヵ月先予想株価収益率は2月28日現在12.5倍です。2012年以降22年2月までの平均値マイナス1標準偏差は12.3倍で、これを一応の下値の目途とすると、足元のバリュエーションは割安圏にあると言えます。業績は総じて好調ですので、今後は割安圏での値固めが進むと考えられます。さらなる上昇には外部環境の安定が待たれ、引き続きウクライナ情勢や米国の物価と金融政策が注目されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ウクライナ情勢下、切り返す日本株式市場』を参照)。
(2022年3月1日)
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