遺産分割協議は、すべての遺産について一度で解決することが望ましいとされてきました。しかし、相続資産が「預貯金」や「不動産」など複数にわたる場合、すべての分割方法を一度に決めることは難しいのが現実です。そのようななか、2019年7月の民法改正で「一部の遺産分割」が明文化されました。これにより、遺産分割協議にどのような変化が生じるのか、永田町司法書士事務所の代表司法書士、加陽麻里布氏が解説します。

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すべて決まっていなくても…一部の遺産分割が可能に

2020年4月の民法改正によって、相続法がどのように改正されたのか、「一部の遺産分割の明文化」について、実際にある相談内容をご紹介します。

 

【相談内容】

相続人のあいだで遺産分割協議をしたところ、相続財産のうち不動産を取得する人間は決まりましたが、預貯金の分割方法はまだ決まっていません。このような場合、先に不動産だけ名義変更手続きをすることはできますか? また、その際に気をつけるべきポイントはありますか?

 

実はこれまでも、一部の遺産分割はおこなわれてきました。しかし、この民法改正によって、条文に明確に記載、つまり明文化されました。

 

これまでは、すべての遺産について一度で解決することが望ましい、とされてきました。しかし、実務上はすべてを一度に、ということは難しく、遺産の一部だけを先行して、遺産分割協議をおこなってきました。

 

相談例のように、不動産はすぐに売却したいので、不動産だけ取得者を決めて預貯金は決まらない状態で名義変更をする、というようなことは以前から実務上ではおこなわれていたのです。

 

それが2019年7月に施行された民法によって明文化された(遺産の一部分割と残余分割)、ということになります。

 

このような一部の遺産分割をする際には、遺産分割協議書の最後に、「本協議書に記載のない遺産については、別途協議する」と一文を記載するだけで認められるようになったのです。

 

しかし、一部の遺産分割には、「気をつけなければならないポイント」があります。

 

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