障がいをもつ後妻の子に財産を多く遺したい…可能?
2.先妻の子、後妻、後妻との子がいる場合
この場合も、遺言がないと法定相続により遺産を分けることになります。
先妻のXとは離婚しているため、Xは相続人にはなりません。しかしXとのあいだの子供A、Bはのちに結婚したYとのあいだの子供Cと平等にあつかわなければならないので、A,B,Cはそれぞれ平等の相続権を有します。
そのため、この場合の法定相続分は、現在の配偶者のYは1/2、A,B,Cは1/2を3等分して1/6ずつの相続権を有することになります。
しかし、生まれつき身体障がいのあるCに、なにかあったときのために充分に財産を与えたいと考えても、遺言がなければ法律通りに分けられてしまい、「実情に合わない相続」が行われてしまうデメリットがあります。
当然A,Bには「遺留分侵害の問題(A,Bには遺留分)」がありますが、実情を踏まえた遺言として、Cに充分な財産が行き渡らせるためには、生前から遺言を作成していく必要があります。
3.内縁の妻がいる場合
このケースで遺言がない場合、「内縁の妻」というのは法律上の妻ではないので相続権がありません。全財産はAの唯一の相続人である兄Cにいってしまいます。
お世話になった内縁の妻に財産をのこしたい場合は、遺言で「全財産を内縁の妻Bに包括遺贈します」と書けば全財産はBのもとにわたり、兄には遺留分減殺請求権はないため1円もわたりません。これは遺言があるかないかによって「雲泥の差」が生じる結果になります。
「遺言があれば内縁の妻に、なければ全額兄のもとに」ということになりますので、こういった実情をお持ちの方はぜひ「遺言の作成」を検討すべきです。
<<遺言書を特にのこしておくべきケースとは? 司法書士が動画で解説>>
加陽 麻里布
永田町司法書士事務所
代表司法書士
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】