最期を看取った内縁の妻…夫の遺産を「全額もらえるケース」と「1銭ももらえないケース」【司法書士が解説】

最期を看取った内縁の妻…夫の遺産を「全額もらえるケース」と「1銭ももらえないケース」【司法書士が解説】

遺言書の重要性について、なんとなく知ってはいるものの、根本的な「遺言書をのこすべき理由」に気づいていない人は多いです。自分が亡くなった際、生前「面倒をみてくれた人」には遺産が1銭ものこらない……こうした「不平等」を回避するための方法を、永田町司法書士事務所代表である加陽麻里布氏が、3つの例を交えてわかりやすく解説します。

障がいをもつ後妻の子に財産を多く遺したい…可能?

2.先妻の子、後妻、後妻との子がいる場合

 

例: 相談者には、先妻(X)とのあいだに子供A、Bがいる。このXと離婚したのちに後妻(Y)と結婚し、Yとのあいだにも子供Cをもうけた。このCは生まれながらに身体に障がいを持っている。

 

この場合も、遺言がないと法定相続により遺産を分けることになります。

 

先妻のXとは離婚しているため、Xは相続人にはなりません。しかしXとのあいだの子供A、Bはのちに結婚したYとのあいだの子供Cと平等にあつかわなければならないので、A,B,Cはそれぞれ平等の相続権を有します。

 

そのため、この場合の法定相続分は、現在の配偶者のYは1/2、A,B,Cは1/2を3等分して1/6ずつの相続権を有することになります。

 

しかし、生まれつき身体障がいのあるCに、なにかあったときのために充分に財産を与えたいと考えても、遺言がなければ法律通りに分けられてしまい、「実情に合わない相続」が行われてしまうデメリットがあります。

 

当然A,Bには「遺留分侵害の問題(A,Bには遺留分)」がありますが、実情を踏まえた遺言として、Cに充分な財産が行き渡らせるためには、生前から遺言を作成していく必要があります。

 

3.内縁の妻がいる場合

 

例:相談者Aには内縁の妻Bと兄Cがいる。AとBのあいだに子供はなし。

 

このケースで遺言がない場合、「内縁の妻」というのは法律上の妻ではないので相続権がありません。全財産はAの唯一の相続人である兄Cにいってしまいます。

 

お世話になった内縁の妻に財産をのこしたい場合は、遺言で「全財産を内縁の妻Bに包括遺贈します」と書けば全財産はBのもとにわたり、兄には遺留分減殺請求権はないため1円もわたりません。これは遺言があるかないかによって「雲泥の差」が生じる結果になります。

 

「遺言があれば内縁の妻に、なければ全額兄のもとに」ということになりますので、こういった実情をお持ちの方はぜひ「遺言の作成」を検討すべきです。

 

<<遺言書を特にのこしておくべきケースとは? 司法書士が動画で解説>>

 

 

加陽 麻里布

永田町司法書士事務所

代表司法書士
 

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