陰口は気晴らしにしかならない…言うべきは「表口」
コロナ禍で様変わりしましたが、以前はよく「居酒屋で、上司や同僚の愚痴を言う」場面があったと思います。
若い社員は「うちの上司(先輩)は、ちっとも現場が分かっていない」。年配社員は「近頃の若いモノは、仕事への責任感が足りない」などなど。
「近頃の若いモノは」というフレーズは、4000年前のエジプトの遺跡にも残っていたそうで今も昔も変わりません。
愚痴を言うのは簡単な楽しみ(「カタルシス効果」や、「シャーデンフロイデ(他人の不幸は蜜の味)」という心理)で、陰口を言って盛り上がるのは楽しいかもしれません。
ただ、その効果としては「自分の気持ちが少し晴れる」だけで「相手の行動が変わる」ことは無く、根本的な問題は永遠に解決しません。
「働かないおじさん問題」を解決するには、「フィードバック」によって、相手の気付きと行動変容を促す必要があります。
超能力者同士でもない限り、言わなければ相手に気持ちは伝わりません。
「こういう風に行動してもらえると嬉しい」
「こういう言動が続くと、仕事で困ってしまうので変えてほしい」
「私が手伝えることはありますか」
など、まず自分がコミュニケーションの起点として動くことで相手や状況の変化を促すことを、考えてみてはいかがでしょうか。
組織に所属する一人ひとりが「自分でも変えられる所はないか」「お互いが感じていることは率直に話し合おう」と考える風土ができると、組織の風土は大きく改善していきます。
どうせなら、自分の憂さ晴らしにしかならない「陰口」ではなく、組織や相手の役に立つための「表口」にしてしまうのです。
相手や組織のためを思って発言することは「自分の課題」、その発言を相手がどう受け止めるかは「相手の課題」と、アドラー心理学でいう「課題の分離」を行い、勇気をもって一歩を踏み出すと、ベテラン社員や上司は、皆さんの勇気ある態度を尊重・信頼してくれることが実際は多いです。
■異動・転職も必要な選択肢だが…若手も「一度は向き合う」ことがオススメ
こちらが誠意と勇気をもって接しても、まったく理解を示さず理不尽な態度を取る上司や先輩だらけの部署だった場合は、異動や転職で「その場所から離れる」ことも選択だと思います。特に若い社員にとって、長い職業人生を無理解な人間関係で浪費する必要はないと考えています(そうさせないことが、上司の役割です)。
離れる選択をする前に、今後の職業人生の経験としても「一度は向き合ってみる」という行動を推奨します。
とは言え、「働かないおじさん」に対しての必要なアドバイスを思いついたとしても、実際は年長者だったり職位が上の人だったりするので、直接意見するのを躊躇しがちな気持ちも分かります。
言い方や言う場面を間違えると、トラブルを誘発する可能性もあります。
そんな場合、「働かないおじさん」や自分の上司を巻き込んで上手く動いてもらうことも、一つの解決策になります。このように、部下が上司を動かして、仕事の目的を達成しようとする行動を、「ボスマネジメント」と呼びます。