(※写真はイメージです/PIXTA)

昨今のアウトドアブームを受けて、「事業再構築補助金」などを活用してアウトドア分野に参入する事業者が増えています。しかしブームに乗って他社を模倣しただけの事業では、ブームが落ち着いたとき、事業者は飽和状態となって、淘汰が生じることでしょう。アウトドアレジャーをビジネスとして継続・発展させていくには、どうすればよいのでしょうか? アウトドアビジネス専門の社外CFO・村瀬功氏が、アウトドアレジャー業界の課題と展望について解説します。

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レジャー飽和時代で「選ばれるレジャー」になる条件

アウトドアレジャーを含め、近年のレジャー業界が直面している課題が、「レジャーの多様化」であり、「レジャーの“安近短”化」です。

 

近年私たち消費者は様々なレジャーを楽しむことができる環境にあり、かつては当たり前のように多くの方が楽しんでいたレジャー、たとえばゴルフやスキーといったものが、近年は「多くあるレジャーの中の1つ」という位置づけになり、限られた一部の方が楽しむものになっていると感じます。

 

今やスマートフォン1台で音楽も動画もゲームも楽しめることもあり、手軽さがレジャーに求められている時代と言えるのではないでしょうか。

 

そのような中でアウトドアレジャーは、「便利な世の中において不便を楽しむ」という要素を持っており、一見“安近短”とは無縁ではないかと考えられるかもしれませんが、やはり他のレジャーと比較してアウトドアレジャーが選ばれるためには、「安近短」を意識した需要の創出が重要になると考えます。

実は「需要アリ」なアウトドアレジャーとは?

■「1泊or2泊の休暇」におけるアウトドアレジャー

アウトドアレジャーは豊かな自然のもとで楽しむことが多く、都市部在住の方が楽しむためにはアクセスに時間がかかることが課題点として挙げられます。

 

日本人は、近年年次有給休暇の取得率が上昇傾向にあるとはいえ、長期の休暇をとることが少ないと言われています。長期の休暇をとることができないことを理由に国内や海外へ旅行に行きたくても行けない人が多いのではないでしょうか。

 

コロナ禍においては遠くへ移動することが控えられていますが、今後は行動制限が緩和されることで国内・海外旅行の参加率が戻ると予想されます。

 

公共財団法人 日本生産性本部の『レジャー白書2021』における、レジャー種目の中の潜在需要のランキングを見るに、国内観光旅行および海外旅行の比率が突出して高くなっています【図表】。

 

公共財団法人 日本生産性本部の『レジャー白書2021』を基に筆者が色塗り
【図表】潜在需要上位10種目 公共財団法人 日本生産性本部の『レジャー白書2021』を基に筆者が色塗り

 

ここで「潜在需要」とは、「希望率」と「参加率」の差で表されます。

 

希望率とは、あるレジャー種目を「その活動を今後も続けたいor将来やってみたい」人の割合、

参加率とは、あるレジャー種目を「2020年に1回以上行った」人の割合、

です。

 

つまり潜在需要とは、そのレジャー種目を年1回以上行うことについての、「やりたい人」と「やった人」の乖離であり、数字が大きいほど「やりたいのにやっていない」ことを示します。

 

蛍光マーカーで塗った種目はアウトドアレジャーです。

 

数日間の休日がとれる方は国内&海外観光旅行を選ぶケースが多いと考えます。

 

アウトドアレジャーは、どちらかというと日帰りか、1泊or2泊の休暇の過ごし方において価値を提供するという、ターゲティングをするのがよいのではないでしょうか。

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