(※写真はイメージです/PIXTA)

昨今のアウトドアブームを受けて、「事業再構築補助金」などを活用してアウトドア分野に参入する事業者が増えています。しかしブームに乗って他社を模倣しただけの事業では、ブームが落ち着いたとき、事業者は飽和状態となって、淘汰が生じることでしょう。アウトドアレジャーをビジネスとして継続・発展させていくには、どうすればよいのでしょうか? アウトドアビジネス専門の社外CFO・村瀬功氏が、アウトドアレジャー業界の課題と展望について解説します。

ビジネスを継続させるカギは「平日利用を増やすこと」

平日利用を増やすことが、アウトドアレジャー業界がビジネスとして継続していくための有効な手段と考えます。

 

アウトドアレジャーは休日と平日との繁閑の差が激しいビジネスです。たとえばキャンプ場については、日本オートキャンプ協会の『オートキャンプ白書2021』によると年間の稼働率が16.3%ですが、これは年間を平均した数字です。

 

休日と平日の稼働率はそれぞれ、休日が70~80%、平日が5%ぐらいと思われます。休日は予約が取れないほど混雑している一方で平日はガラガラな状態なのです。日本ではキャンプに限らずレジャーが休日に偏重しています。長期間休暇を取る習慣があまりなく、限られた日にちにレジャーが集中してしまうという現状があります。

 

レジャー施設運営事業者としても、繁忙期と閑散期の両方ある中で繁忙期に合わせて設備を整えるために投資をしますし、繁忙期に対応できるような人員体制を整えます。閑散期には設備にも人員にも空きが生じてしまうのです。

 

そう考えると、繁閑の差をできる限り少なくすることが経営効率上も重要になってくるのです。現状平日のキャンプ場稼働率が5%程度だとすると、これをたとえば10%~15%程度にでも引き上げることができれば、キャンプ場の損益としては大きく改善することになります。

 

『オートキャンプ白書2021』におけるキャンパー傾向調査においては、「平日の利用者が増えた」という回答数は多かったという結果があり、キャンプ場の平日利用が増えているということは、キャンプ場事業者にとってもよい傾向と考えられます。

 

■平日利用者を増やすには?

平日の利用を増やすための施策としては、たとえば「お一人様をターゲットにする」ということが挙げられます。

 

2020ユーキャン新語・流行語大賞において「ソロキャンプ」がトップ10入りを果たすなど、キャンプ業界ではお一人様利用が増えています。

 

『オートキャンプ白書2021』によると、「平日によく利用する人」のうち74.6%は「ソロキャンパー」であり、仕事をリタイアしている方も多いであろう「シニア」の38.6%の2倍近い数字でした。

 

その他、テレワークやワーケーションが広まることにより、平日にアウトドアレジャーを楽しむことが一般化すれば、平日の利用が増えるということになるでしょう。

 

また、学校教育での利用もまた、平日における利用を増やす取り組みと考えられます。林間学校・臨海学校やスキー合宿など、アウトドアはレジャーに留まらず教育とも親和性が高いです。

 

さらには企業での教育においても、チームビルディング研修のようにアウトドアでの研修も近年注目を増しています。

 

こういったアウトドアで教育や研修を行う取り組みが増えることにより、消費者がアウトドアに親しむ機会が増えるとともに、アウトドアレジャーの利用が増え、ビジネスとして継続・発展していくことが望まれます。

 

 

村瀬 功

株式会社SOTO CFO 代表取締役

公認会計士・認定事業再生士

 

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