(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの影響により、多くの業界において利用者が激減するなどの大きなダメージを負いました。ところがアウトドア業界は、むしろコロナ禍が追い風となり活況を呈しています。いま人気上昇中のアウトドアレジャーは、キャンプだけではありません。アウトドアビジネス専門の社外CFO・村瀬功氏が、コロナ禍におけるアウトドア市場の成長や、注目のアウトドアビジネス企業について解説します。

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アウトドア市場は今後も拡大する見込み

矢野経済研究所の調査によると、2020年度の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場は前年度比4.6%減の2,954億6,700万円でした。分野別構成比は、アパレル市場が65.3%、用具市場が26.2%、施設市場が7.9%、レンタル市場が0.6%となっています。

 

同じく今後の見込みについては、2024年度のアウトドア用品・施設・レンタル市場規模は3,111億3,000万円(2020年度比105.3%)になると予測しています。今後2~3年は新型コロナウイルスがなだらかに終息に向かうとの仮定の下で一定規模の水準で推移すると見ています。

コロナ禍、流行っているのは「キャンプ」だけじゃない

また、キャンプ以外のアウトドア業界も、盛り上がりを見せています(図表1)。

 

出典:公共財団法人 日本生産性本部『レジャー白書2021』
[図表1]釣り・自転車・ゴルフの市場規模の推移 出典:公共財団法人 日本生産性本部『レジャー白書2021』

 

■「釣り」は若者・女性の間でも人気拡大中

3密を避けるレジャーとしてコロナ禍の時代にマッチしたレジャーとして釣りの支持が広がっています。

 

従来は年配の男性に人気のイメージがあった釣りが、近年は「匂いが臭い」「餌や魚に触りたくない」などの釣りのネガティブなイメージを払拭するアイテムが販売されたり、初心者でも手ぶらで行けて気軽に楽しめる釣りスポットが増加するなど、若者や女性の間にも広まってきています。


また、若者の間で影響力のあるインフルエンサーがインスタグラムやYouTubeで釣りの様子を投稿することで、釣りがより身近なものに感じられるようになりました。今では100円ショップでも釣り具が販売されているほど、世の中で釣りが流行しています。

 

■フィットネス需要から「スポーツ自転車」の人気も急上昇

自転車もまた3密を避けるレジャーであり、コロナ禍において運動不足の解消を目的とした健康志向の高まりもあり、需要が高まっています。

 

2020年はスポーツ自転車市場規模が大きく拡大しました。


新型コロナウィルスの感染拡大により営業休止したスポーツジムの代替といった健康増進需要に加え、趣味性の強い高級価格帯のロードバイクやマウンテンバイクが人気でした。

 

今後もコロナ禍による外出制限や在宅勤務の普及・拡大による運動不足の解消といったニーズが強く残ると見られ、また、アウトドアブームの拡大でクロスバイクなどの需要増も見込まれるため、自転車市場には追い風が吹くことが予想されます。

 

■デートや合コンで「ゴルフ」!?若手選手の活躍で若者のゴルフブーム到来

日本のゴルフ業界において「若者の参加」が長年の懸案事項でありましたが、コロナ禍において若者の間でゴルフブームが起こっています。


比較的3密を避けやすいゴルフは、食事やカラオケ等に代わる選択肢として、デートや合コンとしてもニーズが高まっています。

 

ゴルフ業界(ゴルフ用品、ゴルフ場、ゴルフ練習場)の市場規模は、1992年の約2.9兆円をピークに1993年から縮小トレンドにありましたが、当時15歳だった石川遼選手がツアー最年少優勝を飾った2007年と、渋野日向子選手が日本勢42年ぶりのメジャー制覇となる全英オープンを優勝した2019年には、市場規模がそれぞれ+230億円、+300億円拡大しています。


2021年は4月に松山英樹選手のマスターズ・トーナメント優勝、6月にはゴルフ全米女子オープンで19歳の笹生優花選手が優勝し、さらに8月には稲見萌寧選手の東京オリンピック銀メダルを獲得するなど、若いプロゴルフ選手の活躍は、若者層のゴルフへの注目に貢献し、ゴルフ人気が再燃することが期待されます。

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