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リフォーム費用を建物の所有者以外が負担した場合、建物所有者が贈与を受けたことになります。贈与税は年間110万円までは非課税ですが、110万円を超えた場合には贈与税の申告と納税が必要です。リフォームにまつわる贈与のポイントをみていきましょう。

リフォーム費用の負担に伴う贈与税を節税する方法

リフォーム費用の負担割合は、リフォームする直前の建物所有者で判断します。そのため、事前に建物の名義をリフォーム費用を負担する人に変更すれば、贈与税を節税できます。

 

事前に建物の持分変更してからリフォームすべき理由

事前に建物の名義変更した方が節税になるのは、リフォーム費用の金額よりも建物本体の贈与税評価額の方が低いからです。リフォーム費用を負担してもらった場合、費用の金額が贈与税の対象です。

 

一方、事前に建物の名義変更をした場合には名義変更した部分が贈与税の対象となり、贈与時点の建物の固定資産税評価額が贈与税の課税対象額となります。固定資産税評価額は築年数が経過するごとに評価額は下がり、上昇することはありません。

 

また、建築後20年以上経過している建物の固定資産税評価額は数百万円程度まで下がるので、リフォーム費用を贈与するよりも効果的です。

 

建物の名義変更の贈与には相続時精算課税制度が利用できる

建物の名義変更は贈与税の対象となりますが、親(祖父母)から子(孫)への贈与の場合には、相続時精算課税制度を利用することが可能です。相続時精算課税制度は、60歳以上の親(祖父母)から20歳以上の子(孫)に対して贈与した場合、最大2,500万円が特別控除される制度です。

 

また、住宅非課税制度の対象となる贈与財産は新築や増改築工事の資金援助のみに限定されますが、相続時精算課税制度には贈与財産の条件はありません。そのため、建物の持分割合の変更をする際の贈与であっても利用ができます。

 

なお、相続時精算課税制度を適用するためには受贈者が期限内に申告することが必要であり、贈与者が亡くなった際には、相続時精算課税制度でもらった贈与財産の金額を相続財産に合算して相続税の計算をすることになります。

 

リフォーム費用の負担は親の相続まで考えるべき

子がリフォーム費用を負担する場合には、親の相続まで想定しなければなりません。なぜなら、子が親の所有物件の修繕費を負担すると、贈与税と相続税の両方の税金の対象になるからです。

 

子から親への贈与をすると相続税の負担額が増加する

子から親への贈与した金額が110万円を超えた場合には、受贈者である親が贈与税を支払いますので、子が贈与税を支払う必要はありません。

 

しかし、親が亡くなった場合には、亡くなった人(被相続人)の財産に対して課税しますので、贈与した財産も相続税の対象財産となります。

 

そのため、子から親への贈与は、贈与時に親が贈与税を支払い相続時に子が相続税を支払うことになるので、税金を二重に負担することと同じです。

 

親名義の財産はすべて遺産分割協議の対象

相続財産は、相続時点の被相続人の財産を相続人が話し合い、分割します。生前中に被相続人から相続人に対して贈与をしていた場合には、相続の取得割合に考慮されますが、子から親への贈与については考慮されません。そのため、生前中に親に贈与した子(相続人)は、贈与した分だけ損する結果となります。

 

小規模宅地等の特例が適用できるのは亡くなった人の建物の部分のみ

相続税の土地評価額を下げる制度として、小規模宅地等の特例があります。

 

被相続人が自宅の敷地として利用していた土地の評価額を最大80%減額できる制度ですが、自宅の建物の名義は原則被相続人であることが条件です。建物の名義が同居している親族であれば、小規模宅地等の特例適用の対象ですが、同居親族以外の名義部分については特例適用の対象外です。

 

そのため、被相続人の実家をリフォームする際に被相続人以外の名義を入れると小規模宅地等の特例の適用ができず、相続税の節税制度が利用できません。

贈与税の節税対策は親の相続税まで計算

相続は親が先ですので、子から親への贈与をしても節税効果はありません。

 

また、親から子へ贈与する場合でも、相続税の特例が適用できなくなるケースもありますので、贈与税だけではなく相続税の特例制度の適用まで考慮しないと効果的な節税にはなりません。

 

先ほど共有持ち分を子に贈与することで贈与税を節税する方法についてご説明しましたが、持ち分を贈与した方が良いのか、持ち分は相続で渡すこととして今は現金を贈与した方が良いのか、というような問題は、親の財産の総額や内訳にもよるので、一概に「この方法が良い」と言えるようなものではないのです。

 

財産内容・総額・相続人の数や構成などを加味した上で全てのパターンにおけるシミュレーションをしないとどの方法が一番適しているかを判断することは難しいため、相続や贈与に詳しい税理士に相談することをお勧めします。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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