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企業「知的財産権を侵害していないか不安…」
当事務所と顧問契約を結んでいたC社は、ソーシャルゲームを新たに開発していました。
サービス内で活用するキャラクターイラストを発注する際、既存の名称や色使いなどの知的財産権侵害にあたらないかなどの不安があり、ご相談にお見えになりました。
さまざまな角度から調査・分析…問題解決までの流れ
サービス開発を進めるにあたって、権利者の知的財産権を侵害していないか、さまざまな角度から調査・分析を行いました。
商標登録されているものについてはもちろん、場合によっては特定の色彩の組み合わせが権利として認められているケースもあります。
また、商標登録されていない場合でも、不正競争防止法にあたるケースもあるため、注意が必要です。
他者が社会に対して拡大した認知を利用し、新たにビジネスを展開することは社会通念上も認められませんので、注意深く調査を進めました。
具体的には、商標法、不正競争防止法、著作権法、意匠法といった関連する知的財産法令について調査しました。合わせて、競合サービスについても調べを進め、どこからどこまでが適法で、どこから先は違法なのか、法令の趣旨や監督官庁の解釈も踏まえた上で整理していきます。
これらの法律や他社事例、判例などについて、徹底的に分析した上で、C社が独自に注意するべき点をピックアップ。対策についても検討し提案しました。
最終的に、当所の提案を検討した結果、無事サービスをローンチ。広くユーザーに認知され、数年後に株式上場を果たしています。
「ローンチ後のトラブル」を解決するのは大変
地名などをモチーフにしたソーシャルサービスのため、ある種の「匂わせ」がなければ意味がないサービスでした。
そのため、資金も社会への影響力も乏しいサービスローンチ直後に、権利者の権利を侵害しないラインはどこなのか、明確にした上でサービスを開始する必要がありました。
また、サービスが軌道に乗ったあとに、ストップが掛けられないようにする、さらには広く社会全般にスケールを拡大させていくためにもコンプライアンスの遵守徹底は必須です。
大きく社会に展開したあとで、根幹部分を修正・方向転換するのは非常に大きな労力と資金が必要となります。ローンチ前の設計段階で、確実・安全な線引まで、詳細を詰めていくことが求められます。
とはいえ、デザイン面やサービスの法的な課題について、経営者がすべての安全性を確認・理解するのは難しいでしょう。
弁護士が企画段階からコミットして、調査・検討した上で安全なロジックを提案。その提案に対して経営者が最終判断を下すことが大切です。
そもそも「著作権」とは一体何なのか?
ご紹介したC社のケースでは、コンテンツの企画段階でご相談をいただいたため、弁護士がしっかりとサポートさせていただくことで、トラブルになることなく進めることができました。
では今回は、知的財産権のなかでも良く耳にする「著作権」について詳しく解説していきたいと思います。
著作権とは、著作物を保護するための権利です。
【著作権の対象となるもの】
著作権の対象になるのは、著作物です。「著作物」は、著作権法にて「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」とされています。
このように、著作権の対象となるものは広範であり、特許権などのようにどこかへ登録されているものだけが対象となるわけではありません。 創作と同時に、著作権の対象となるのです。
また、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とありますが、小説家の書く小説や美術館に飾られた絵画のような文学性や芸術性の高いものだけが著作権の対象となるわけではない点にも注意が必要です。
たとえば、企業のWebサイトの記事や、写真家などではない一般個人がSNSに投稿した写真、子供の描いた絵なども著作権の対象となり得ます。
このように、著作権の対象となるものはかなり広いことを知っておきましょう。