遺言がなければ「遺産分割の協議」が必要に
遺言とは、自分が築いてきた大切な財産を、自分の亡き後、最も有効かつ有意義に活用してもらうために行う意思表示にほかなりません。
遺言がないことによって、相続をめぐって親族間で骨肉の争いが起こり、仲が良かったはずの一族が決裂して「争族」になってしまう例が、世の中にはたくさんあります。
遺言がない場合、民法が定める相続分(法定相続)に従って遺産を分けることになります。一例を挙げると、民法では、「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする」と規定されています。
これは「抽象的に相続分の割合を決めているだけ」にすぎません。そのため、具体的に「誰が、何を、どれだけ相続するか」を決めるために、遺産分割に関する協議を行わなくてはなりません。
しかし、これが曲者なのです。誰もが少しでも多く、すぐに役に立つ財産、収益を生む財産を欲しがるので、紛糾してしまい、収拾がつかなくなることが多いのです。
同じ相続人でも「貢献度」に差がある!?
また、相続人の全てが、生前の被相続人に対して同じように接してきたわけでもありません。被相続人の近くに住み、常日頃から何くれとなく面倒を見てきた貢献度の高い人もいれば、遠くに住んでいたり関心がなかったりで、ほとんど貢献してこなかった人もいることでしょう。
それらの人たちが、「法定相続人として同じ立場だから」という理由で、財産を等しく分けて相続するというのは、かえって不平等ということになります。