(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年1月、株式市場は大きく下げました。従来からの投資ブームに乗じ、最近投資家デビューを果たした初心者のなかには、手痛い思いをした人もいるかもしれません。価格下落に慌てふためき、狼狽売りする人がいる一方、購入価格に固執していつまでも損切できない人もいます。「狼狽売り回避」と「損切失敗」の似て非なるポイントを、経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

とはいえ「個別銘柄の暴落」は、早めの見限りが必須

平均株価については、市場が動揺して暴落しても、動揺が収まれば回復する可能性が高いでしょう。過去のグラフが示している通りです。「この世の終わり」など滅多に来ることはないでしょうから、いつかは元に戻るはずです。

 

もっとも、個別銘柄が暴落している場合には、そうとは限りません。「銘柄の終わり」は過去にも数多く見られましたから。

 

もうひとつの大きな違いは、平均株価が暴落すると借金で株を買っている人などの「売りたくない売り」が出て株価を押し下げる力が働きますが、個別株の暴落の場合はそうした力が働かない、ということです。

 

つまり、平均株価の場合は「市場の力学で下がり過ぎているから、じきに戻るだろう」と言える場合も多いわけですが、個別株の場合の暴落は他の投資家たちがその銘柄を見限ったことによる暴落である可能性が高いわけです。

 

したがって、個別株が暴落した場合には、もちろん冷静な分析は必要ですが、早めに損切りをしてほかの銘柄に乗り換えるほうがいい場合も多いはずです。

 

もうひとつ、投資の期間も重要な要素です。長期投資であれば「市場が死ぬことはないから、待っていれば戻るだろう」と気長に構えることができますが、短期投資の場合には、市場全体の動揺が続いている間に売却せざるを得ない可能性も考慮する必要があるでしょう。その場合も、損切りが選択肢となるわけですね。

1月の株価下落はどうだったのかを振り返り

1月に株価が下がりました。過去の暴落局面とくらべれば、特段騒ぐほどのことはなかったわけですが、初心者のなかには、「初めて出会った怪獣を前にしてパニックになった」ような人もいたかもしれません。

 

とりあえず、原稿執筆時点での市場は乱高下が続いていますが、弱気論者が多そうなので、もう一度下がる可能性は十分にあるでしょう。そうなったら、まずは冷静になることが必要なわけですが、冷静になった結果、なにをどう考えればいいのでしょうか。

 

まず考えるべきなのは、今回の下落が「バブルが崩壊し始めた最初の下落」なのか否か。経済実態と比べて明らかに株価が高過ぎたのが修正され始めたと考えるならば、早めに売っておいたほうがいいかも知れません。

 

次に考えるべきなのは、ウクライナをめぐる欧米とロシアの対立が軍事衝突に発展する可能性があるのか否か。軍事衝突になれば株価は大暴落するかもしれませんから、その可能性が高いと考えるならば、やはり早めに売っておいたほうがいいかもしれません。

 

そうでなければ、市場全体のムードが好転するまで気長に待つという選択肢を検討してもよさそうです。

 

新型コロナは、オミクロン株については重症者や死者が多くなさそうなので、経済活動への打撃も限定的だと考えたいですが、生産や流通の混乱などでインフレが加速するリスク等には要注意でしょう。

 

別の変異種が出てきた場合はなんともいえませんが、株価については意外なことに「これで金融緩和が長続きする」と投資家たちが考えて株を買うかもしれませんから、その意味でも予想は困難かもしれませんね。

 

今回は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等々の見解ではありません。また、当然のことですが、投資は自己責任でお願いします。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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