前回は、所有地の評価額を算出する「路線価方式」「倍率方式」について説明しました。今回は、農地や山林の評価方法について見ていきます。

評価方法は農地の種類によっても異なる

前回に引き続き、相続税評価の対象となる不動産について見ていきます。

 

(3)農地の評価方法

 

農地は、①純農地、②中間農地、③市街地農地、④市街地周辺農地の4種類に分けられます。それぞれの評価方法は、以下のような形になります。

 

①純農地

宅地と同様に倍率方式で評価します。

 

②中間農地

純農地と同様に倍率方式で評価します。

 

③市街地農地

宅地比準方式または倍率方式によって評価します。

 

④市街地周辺農地

その農地が市街地農地であるとした場合の価額の80%に相当する金額によって評価します。

 

③の宅地比準方式とは、「農地が宅地であるとした場合の価額」から農地を宅地に転用するために必要となる造成費の額を差し引いた金額により評価する方法です。「農地が宅地であるとした場合の価額」は路線価の定められている地域では路線価によって、そうでない地域では評価しようとする農地に最も近接し、なおかつ道路からの位置や形状等が最も類似する宅地の評価額を基準として計算します。

 

【図表】評価方法図

市街地山林は比準方式または倍率方式によって評価

(4)山林の評価方法

 

一方、山林は、①純山林、②中間山林、③市街地山林の3種類に分けられます。それぞれの評価方法は、以下のような形になります。

 

①純山林

倍率方式によって評価します。

 

②中間山林

倍率方式によって評価します。

 

③市街地山林

比準方式または倍率方式によって評価します。

 

③の比準方式では、前述した市街地農地と同様に「山林が宅地であるとした場合の価額」から山林を宅地に転用するために必要となる造成費の額を差し引いた金額によって評価を行います。

本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『「相続破産」を回避する地主の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「相続破産」を回避する地主の生前対策

「相続破産」を回避する地主の生前対策

加瀬 義明

幻冬舎メディアコンサルティング

2015年1月から実施された相続税増税により、「資金が足りずに税金が払えない」「不動産を手放すしかない」という人が急増しています。 不動産の売却によって納税資金を用意できればいいものの、「隣地との境界問題が解決でき…

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