インフレ高進と長期金利上昇
金融引き締めはかなり織り込まれた
■世界の株式市場は調整色を強めています。今回の調整は、主に米国のインフレ高進、米国の金融政策のタカ派化と長期金利の上昇が背景です。
■米国の消費者物価は、昨年12月に前年同月比+7.0%と39年ぶりの高い水準となりました。弊社は年後半には同+2%台前半ぐらいに落ち着くと見ています。
■米国の金融政策については、3月に資産購入の減額(テーパリング)を終了して利上げを開始(3月、6月、12月とそれぞれ0.25%)し、9月からバランスシートの縮小を進めると見ています。利上げの予想は、来年も3回がメインシナリオです。23年末のFF金利は1.75%程度になる見込みです。
実質FF金利が1%までであれば株式市場は落ち着こう
FF金利が大幅に上昇するリスクは低い
■FF金利先物市場も23年末のFF金利を1.75%程度と想定しています。データを振り返ると、インフレ率を考慮した実質FF金利が1%を上回ると株式市場には大きなマイナス要因となっていました。したがって、実質FF金利が1%以下でとどまるとの期待形成になれば、景気や株価に対する懸念は限定的なものになると考えられます。23年以降のインフレ率を2%とすれば、実質FF金利が1%になるにはFF金利が3%となる必要があります。弊社や市場が考える2%以下のFF金利の水準と大きく乖離しており、そこまでFF金利が上昇するリスクは低いと考えられます。
3月以降堅調さを取り戻そう
■現在の米国株式市場は利上げ局面入りを受け入れる過程にあり、2月頃まで変動率の高い展開となりそうです。まずは来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されますが、3月のFOMCで、インフレの見通しや利上げの進め方、バランスシートの縮小等に対して、ある程度方向性が見えてくれば、足元の不透明感はかなり低下すると思われます。米国株式市場は、3月以降、景気・業績に支えられつつ堅調さを取り戻すと考えられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『今後の金融政策と米国株式市場』を参照)。
(2022年1月21日)
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