前回は、埋蔵文化財、地下水が不動産のリスク要因になる理由を説明しました。今回は、高圧線の存在が不動産にもたらすリスクについて見ていきます。

建物の配置・構造等への制約があればリスク要因に

前回に引き続き、特に注意すべき「不動産の抱えている問題(リスク)」について見ていきます。

 

(4)高圧線

高圧線が上空を通っている土地(高圧線下地)も買い手には敬遠されがちであり、たとえ売れたとしても価格が低くなることが避けられません。

 

高圧線下地の売り値が安くなる理由としては、まず高圧線が存在するために、建物の配置・構造等に制約がもたらされることが挙げられます(たとえば、本来であれば建築基準法上は5階以上の建物が建てられるはずなのに、上空に高圧線があるため3階建ての建物しか建てられない場合など)。

建物への物理的な被害を及ぼすことも・・・

また、高圧線が人の心理面等にもたらす悪影響も懸念されます。たとえば、高圧線下地が取引対象となる場合には、一般に以下のような点が買い手側から不安材料として挙げられるおそれがあります。

 

①高圧線の独特の形状が威圧感・圧迫感を与える

②強風時の風切り音によって騒音が生じる

③眺望が阻害される

④テレビ・ラジオ等へ電波障害がもたらされる

⑤電磁波による健康被害の不安がある

 

なお、高圧線がその下にある建物に対して物理的な被害を及ぼすこともあります。たとえば、高圧線に積雪した雪が低温化で氷化し、建物の屋根の上に落下して破損させたケースも筆者のお客さまの家で実際にあった話です。

本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『「相続破産」を回避する地主の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「相続破産」を回避する地主の生前対策

「相続破産」を回避する地主の生前対策

加瀬 義明

幻冬舎メディアコンサルティング

2015年1月から実施された相続税増税により、「資金が足りずに税金が払えない」「不動産を手放すしかない」という人が急増しています。 不動産の売却によって納税資金を用意できればいいものの、「隣地との境界問題が解決でき…

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