研修医あるある⑤「自分って本当は凡人だったんだ…」
ドクターに限らず、常に学年でトップクラスだった人たちと話をしていると、同じくらいのレベルの人たちが集まる大学や職場に入ったときに初めて挫折を感じたと聞きます。今まで「自分は人とは違って優秀」と思っていたのに、急に凡人だったと気づくというのです。
超難関をくぐり抜けてきた皆さんも、似たような経験があるのではないでしょうか。医学部に入学したときや研修医になったとき、「自分は寝る間も惜しんで勉強しているのに、なぜあいつは簡単そうにできてしまうんだ」。そんなふうにコンプレックスを感じてしまう同級生や同期がいたこともあるでしょう。
研修医のときに感じるコンプレックスは、知識や技術に対することだけではないはずです。病院では、さまざまな立場の人と接しながら仕事をすることになります。なかには自分よりもうまく上級医や病院スタッフ、患者とコミュニケーションが取れる同期もいるかもしれません。「なぜあいつだけ上級医に教えてもらえるんだ」「どうしてあいつは患者と楽しそうに会話ができるんだ」。エリート街道を突っ走ってきた人ほど劣等感を覚えてしまうのでしょう。
しかし、コンプレックスは成長のきっかけにもなります。私は「ならばこうしよう!」と決意し、行動や言動を変えることで将来の夢を実現させたドクターを何人も知っています。
研修医あるある⑥後期研修の進路選択が難しい
私が今までお会いした研修医の悩みで最も多いのが専門科の選択です。医師専用コミュニティサイトなどを運営するメドピアが医師に対して行ったアンケート調査(有効回答数3319)によると「生まれ変わったら何科になりたい?」という質問に対して約2割が「他の診療科」と答えています。5人に1人の医師が後悔しているのです(図表2)。
研修3年目からスタートする専門研修は、医師人生のやりがい、そして収入、つまりライフプラン(人生設計)を決定づけます。
「忙しくて考えられない」「ブランド力があるから救急科」といったように深く考えずに決めるのではなく、「10年後、20年後の自分はどんな医師になっていたいのか」というキャリアプランを明確にしたうえで決断してほしいと思います。
大山 一也
株式会社トライブ 代表取締役