(写真はイメージです/PIXTA)

遺産分割協議では各相続人が自由に相続分を決めることができますが、相続人の中に大きな借金を抱えていた者がいる場合、遺産分割の内容に制限が加わることがあります。本記事では、行政書士法人ストレートの大槻卓也行政書士が遺産分割協議と詐害行為取消権について解説します。

詐害行為取消権の行使について

詐害行為取消権が認められるには、債務者が無資力であることの他に、以下のような条件に該当している必要があります。

 

■詐害行為取消権が認められる条件

  • 債務者が遺産分割によって債権者の権利を侵害すると認識していた
  • 遺産分割によって利益を受けた相続人がその事実を認識していた

 

債務者が債権者を害することを知ってした行為でなければ詐害行為とはいえないため、取消しの対象外となります。

 

また、遺産分割によって利益を受けた相続人=受益者が事情を知らなかった場合、利益を剥奪してまで債権者を保護する必要はないとされています。

 

ところで、詐害行為取消権の行使は、裁判所に訴訟を提起することになるため、判決が確定するまでに時間を要します。

 

その間に、詐害行為の目的財産が処分されてしまうと、判決が確定しても返還請求できない恐れがあるため、事前に当該財産の処分禁止の仮処分を申し立てるといいでしょう。

詐害行為取消権に期限はあるのか?

詐害行為取消し請求は、債務者が詐害行為をしたことを債権者が知ってから2年経過していると訴訟提起ができなくなります。

 

また、詐害行為自体があった時から10年が経過していた場合も訴訟提起ができなくなるので、期限が設けられていることには注意しましょう。

遺産分割協議と詐害行為取消権のまとめ

  • 遺産分割協議は詐害行為取消権の対象になる
  • 相続放棄による財産の減少は詐害行為取消権の対象にならない
  • 詐害行為取消権の行使には、債務者が無資力であるほか、債権者の権利を害すると知ってした行為でなければならない
  • 詐害行為取消権の期限は債権者が詐害行為を知ってから2年以内、また、詐害行為自体があってから10年以内となる

 

 

大槻 卓也

行政書士法人ストレート 代表行政書士

 

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本記事は行政書士法人ストレートのコラムを転載したものです。

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