(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資を始めてみたいと考えているサラリーマンの人は少なくないでしょう。しかし、普通の買い方では融資上限に引っ掛かってしまい、サラリーマンの収入を超えることは困難です。さらに言えば、金融機関が次も貸したいと思える買い方を知っていないと次の融資は出ません。融資上限を気にすることなく物件を買い進めていくためのポイントを見ていきましょう。

バイアウトは、手残りが「毎月100万円」になってから

所有物件をバイアウトしていくタイミングは、全物件合計で毎月100万円の手残りがつくれるようになってきた段階が一つの基準です。

 

不動産投資の神髄は毎月安定的に収入が入ってくるところにあり、物件運営の諸経費支払い後、金融機関への返済後に100万円が毎月残る状態だと、それ単体で普通の会社勤めよりも高い属性になることがあります。

 

ということは、これが不動産賃貸業者としての基準ラインというところになります。もちろんリスクもあるのでセミリタイアするには心もとない収入ともとれますが、金融機関的にはここまでくれば一人前の事業者として見てくれます。特に信金など地元密着型ならなおさらです。

 

物件を売却すると一時的に大きい金額が入ってきたような気分になりますが、結果的に未来分の収入と、自身が拡大してきた事業規模の切り売りになります。なので、特に一度キャピタルゲインを得てしまった人は売却中毒みたいになることがありますが、本質はやはり家賃によるインカムゲインの蓄積と税金のコントロールです。

 

また、毎月100万円の手残りをつくる頃には、順調にいけばだいたい1棟目や2棟目あたりが長期譲渡のタイミングに入っていると思いますので、資産入替という意味でもちょうどいい時期です。

 

将来的に事業者としてまっすぐに規模拡大をしたい場合は、「月額返済後の手残り100万円」への到達が第1チェックポイントです。

 

そこまではじたばたせず、真面目に貯蓄をし、戦略的に借入を起こし、コツコツ物件を買い進め、税還付の効果を享受してください。

「本当に出口は取れるのか?」よくある疑問に率直回答

最後に、売却時の出口戦略について不安を感じている方がよく口にされる疑問にお答えしてみたいと思います。

 

■Q:本当に出口は取れる?

少なくとも、日本に不動産賃貸業という業種が成立し続ける限りは、お金を生み出す装置を欲しい人はどの時代にも必ず一定数います。そのうえ、当社顧客は平均年収が3000万円超の方がほとんどですので、減価償却目的で物件を求めている方が行列している状態です。

 

しかしながら、勘違いしてほしくないのは、不動産はリスク商品でもあるということです。利回りはリスクの裏返しです。だから株式などと比べ大きなリターンを得られるのです。決まったタイミングで絶対に出口が取れる保証はありませんし、融資情勢によっては作戦変更もやむなし、ということもあります。

 

「何のリスクも取らずにリターンを得たい」というのは冗談でいうならよいですが、本気で考えているとすれば流石に浅はかです。

 

時折、投資面談などでも「出口戦略が問題ないというなら、その誓約書を出してくれ」などとおっしゃる方、あるいは過剰に不安がってごく細かな疑問を五月雨式に何百個も並べてくる方もいらっしゃいますが、あまりに心配性な方は、不動産投資をしない人生を選ぶほうが幸せかと思います。

 

■Q:簿価が大幅減していたら、売却時の課税で損しない?               

築古物件では簿価の減少が早いため、売却時に課税によりマイナスが発生することはあります。これは税制上、仕方のないことです。

 

ただ、それまでの運営期間で非常にプラスが出しやすい、というのが大きなポイントで、よほど大規模修繕がかさんだり、入居率が50%を切ってしまうなど、事業上で重大なトラブルに見舞われない限り事業総収支はプラスで着地することのほうが多いはずです。

 

人生の早い段階で現金を手元に置けることは、複利の考え方において何より重要で、前倒し、前倒しで拡大を進めていけば最終的に何もしなかったときより豊かな経済規模で着地できる公算が高まります。

 

感覚的なところとして、一つひとつの取引だけを切り取って「得した」「損した」となる気持ちは私も分かります。

 

ただ、これは一時の感情ではなく全体の勘定で見ていただき、「何もしていなかったときよりは得をした、損をした」という大局的な視点で評価する癖をつけることが、事業を長続きさせるうえで重要な観点だと思います。

 

 

穴澤 勇人

コスモバンク株式会社 代表取締役

 

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※本連載は、穴澤勇人氏の著書『融資上限は怖くない!税制と収益不動産をフル活用した資産形成』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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穴澤 勇人

幻冬舎メディアコンサルティング

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