「交通アクセス」など利便性も気にすべきワケ
②井戸水や排水制限の有無
食品工場のように製造プロセスで水を大量に使う工場では、井戸水の利用が可能な場所や排水の利便性が高い立地のほうがコスト削減につながる。ほかにも、電気容量に制限がある場所や塩害が発生する場所もあるので注意が必要である。
③交通アクセスなどの利便性
新しい土地に建物を建てる際、移転先においても現在の従業員に継続して働いてもらうのかどうかは難しい問題である。当然、通勤の利便性が高い土地を選んだほうが従業員からは喜ばれるだろうが、そこにこだわり過ぎると土地が決まらないという問題も出てくる。
また、搬入ルートについても注意が必要である。増産する場合、これまでのトラックより大きなトラックが出入りしたり、搬出入の回数が増えたりといった可能性があるので、物流も含めた検討を進めていくべきである。
④災害の少ないエリアかどうか
地震や浸水といった災害への対策も重要である。日本の都市は、海や河川の水位より低い土地に形成されている場合が多く、河川から水が溢れたり堤防が決壊したりすると大きな被害が生じる。
地震だけでなく、2018年の西日本豪雨、2019年の東日本台風、そして、九州・中部地方などで猛威を振るった2020年7月豪雨など、水害についても頻度や被害規模は年々大きくなりつつある。そのため、沿岸部やハザードマップに掲載されている被災想定区域などのチェックは欠かせない。
2018年に新棟が竣工した鳥取県の病院では、1階をピロティとして、想定浸水深より高い位置に免震層を設置し、主要な機能やインフラ設備を浸水リスクが低い2階以上に配置した。救急用や搬送用に必要なエレベーターの浸水対策も徹底しているなど、今後を見据えた防災への取り組みを行っている。
このように適切なBCPを策定することも必要な要素の一つである。BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)のことで、企業が自然災害、テロ、システム障害などの緊急事態に遭遇した場合において、事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことである。
BCPは単なる防災対策とは異なり、事業の継続を目的として具体的な行動指針を定めたものだ。巨大地震に備えて建物を免震構造にしたいという要望もたまにあるが、建物が地震に耐えても周りのインフラが壊滅すれば通勤や物流が麻痺し、事業は継続できなくなる。