※写真はイメージです/PIXTA

何十年も前から懸念されていた、少子化、高齢化、技術革新の鈍化。しかし「大丈夫」「なんとかなるだろう」と受け流したことで、日本の社会・経済に多くの問題が発生したのは周知のとおりです。人々の認知の歪みは、ときに大きな問題を引き寄せます。劇作家・演出家としても活動する竹内一郎氏が解説します。

「だって、あの人は〈血液型がA型〉だから…」

私たちは人を評価するとき、ステレオタイプ化することがある。

 

出身地や性別、職業、血液型、星座などで、その人の性格をあるタイプに落とし込む。人によっては、ステレオタイプで他人を分類分けすることで、人付き合いをシンプルにわかりやすくしている。

 

「大阪人は『なんぼなんぼ』とお金の話を聞きたがる」「男は肩書で相手を決め付けたがる」「学校の先生は世間が狭い」「彼は血液型がA型だからせっかちだ」「彼女は天秤座だからバランス感覚がいい」などなど――。

 

それも一つのやり方だとは思うが、あまりに決め付けが激しい人だと、付き合いにくい相手となる。

 

居酒屋で冗談半分に話す程度なら大きな問題はない。しかし実際には、大阪人にもあまりお金の話をしない人もいるし、学校の先生にも世間の広い人はいる。ステレオタイプで人を決め付ければ、歪(ゆが)みからは逃れられないと心得よう。

才能に秀でた人は「人格もすばらしい」?

また人を評価するときには、「ハロー効果」と呼ばれるものがある。スポーツ選手として一流であったり、芸術家として優れた人を見たとき、人は彼(彼女)を、無意識に人格的にも優れた人だと思う傾向がある。一つ優秀なことがあると、それ以外も優秀ではないかと推測してしまうのである。

 

実際には、一流のスポーツ選手や芸術家として優れた人も、犯罪を起こしたりすることがある。運動能力や創作力と人柄の間には、必ずしも相関関係があるわけではない。しかし、なんとなく人格が優れていそうだと感じるのは、ハロー効果ゆえである。

 

もちろん活動期間が長くて、いろんなジャンルの人と付き合いながらも、評判が落ちない人は人柄も素晴らしい可能性が高い。しかしそれも、運動能力や創作力とは異なるものである。特別な能力はなくても、長い間の人付き合いで、他人からの評価の高い人は人柄も良いものである。

 

他者を評価するとき、判断が歪むという観点から、もう一つ気をつけておきたいことがある。ある人に関して、複数の情報に触れたとする。好ましい情報と好ましくない情報の二つがあるとしよう。そのとき、私たちは、好ましくない情報のほうを過大に評価する傾向があるのだ。

 

好ましい情報より、好ましくない情報のほうが影響が大きいことを、「ネガティビティバイアス」と呼ぶ。好感度の高い芸人も、スキャンダルを起こしてワイドショーのタネにされると、なんとなくスキャンダルのほうが記憶に残ってしまう。

 

これなども、私たちがバイアスに影響されている典型的な例である。

 

竹内 一郎

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

本記事は『見抜く力 結果を出す人はどこを見ているか』(河出書房新社)より抜粋・再編集したものです。

見抜く力 結果を出す人はどこを見ているか

見抜く力 結果を出す人はどこを見ているか

竹内 一郎

河出書房新社

皆に同じものが見えていて、皆にチャンスは平等に開かれている。 なのに、なぜ雲泥の差がつくのか? 「見た目」から真実を見抜く著者が教える、「目の付け所が違う人」になるためのレッスン!

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録