「だれが買うんだ…」洋服屋がセンスの悪い〈捨て色〉をあえて仕入れる納得のワケ ※写真はイメージです/PIXTA

生活をするうえで、私たちは日々、実に様々な選択を迫られています。何の気なしにその選択肢を選んでいると思っていても、そこには人間としての心理的特性が影響しているのです。どういうことでしょうか。ベストセラー作家で、劇作家・演出家としても活動する竹内一郎氏が、具体的な例を交えて解説します。

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人間は自分の選択に「後悔」したくない

2020年以来、コロナ禍が世界中を席巻している。このウイルスの場合、ワクチン接種の是非の判断が大きく分かれた。だが、インフルエンザが流行したときには、ワクチン接種の是非はあまり大きな問題にはならなかったように記憶する。

 

問題を深くしてしまったのは、COVID-19にかかって感染死する人の割合が国によって大きく違ったことだ。また、ワクチンができたばかりで、副反応で死ぬ可能性もあるのだが、死ぬ確率の数値が与えられていなかったために、ワクチンを接種することの損得がわからなかったことが大きい(もちろん、医学が発達したことや、変異株の脅威に関する意見の違いなど要因は多岐にわたっている)。

 

私たちは比べようもない二つを目の前に並べられて、どちらかを選びなさいと言われても困るばかりである。

 

インフルエンザの場合は、子供は1万人のうち10人が感染死することがわかっている。もちろんインフルエンザの場合も、ワクチンの副反応で死ぬ子供はいる。現状その数が少ないから、副反応の可能性を考えずに、ワクチンを接種させる傾向が強い。しかし、副反応で死ぬ子供が1万人のうち10人であるなら、インフルエンザのワクチンを子供に摂取させる親はいなくなるのではなかろうか。

 

こういう心理的特性は「省略バイアス」と呼ばれる。人間は自分が選択したことで後悔したくないのである。

変化するリスクより、現状維持を望んでしまう

新しいことにチャレンジすることが大切であるとはわかっているが、後悔したときのダメージが大きいので、安定を望むのが人の性(さが)である。現状を変えようとすれば、コストもかかるし、リスクも伴う。結果に大きな違いがないのなら、変化を求めないほうが得だ。この傾向を「現状維持バイアス」と呼ぶ。

 

一般に年齢の高い人は、携帯電話会社を変えない傾向がある。お中元やお歳暮に使うデパートも、同じ店を使う傾向がある。車も、普段乗っているメーカーからあまり変えようとはしないのではなかろうか。

 

私自身、取引するデパートを変えてよかったと思うこともあれば、自動車メーカーは変えないほうがよかったと反省することもある。結果は実際に行動してみなければわからないものだ。

 

生活をしたり仕事をしたりしていれば、面倒なことも多い。そのままで困っていないことなら、わざわざ現状を変える必要もない。

 

とは言え、果たして現状がいいのか、冷静に判断していないことも多い。省略バイアス、現状維持バイアスは、後悔を回避する心理から生まれる。私たちが判断するときには、そういう心性があることも知っておくとよい。

 

「昨日と同じでよい」と思っていると、ついつい、手を抜いてしまいがちなのも人の性である。

 

個人商店のなかには清掃の手を抜いている店もある。店主は「現状維持」のつもりだが、店全体は日々劣化の道を辿っていることも珍しくない。

 

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宝塚大学教授
演劇集団ワンダーランド代表

1956年、福岡県生まれ。横浜国立大学卒。劇作家・演出家として演劇集団ワンダーランド代表を務める一方、さいふうめい名義で漫画『哲也 雀聖と呼ばれた男』の原案も担当。『人は見た目が9割』など、著書多数。

著者紹介

連載人間関係が「客観的に見えてくる」心理法則

本記事は『見抜く力 結果を出す人はどこを見ているか』(河出書房新社)より抜粋・再編集したものです。

見抜く力 結果を出す人はどこを見ているか

見抜く力 結果を出す人はどこを見ているか

竹内 一郎

河出書房新社

皆に同じものが見えていて、皆にチャンスは平等に開かれている。 なのに、なぜ雲泥の差がつくのか? 「見た目」から真実を見抜く著者が教える、「目の付け所が違う人」になるためのレッスン!

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