(※写真はイメージです/PIXTA)

「不倫」「浮気」「離婚」「セクハラ」……銀座さいとう法律事務所には、今日も有象無象のトラブルが舞い込みます。本連載では、齋藤健博弁護士が実際に寄せられた事例をもとに、男女の法律問題を解説していきます。

早く終わりにしたい…「認知と養育費」問題の行方

一方和也さんは、交際は婚姻以前のものであったと主張しました。

 

通常、こういったケースではまずDNA鑑定を行います。元交際者の子が、本当に彼の子であるのかどうか確認するためです。

 

先方は認知をしてほしいと主張しますが、ミカさんはどうしてもしたくありませんでした。しかし実の子であった場合、裁判所の手続をとれば認知は実現されます。

 

戸籍を取り寄せてみると、確かに認知はされていませんでした。認知されていないのなら、養育費を支払う義務がありません。すでに400万円渡している件をどう処理するのか、そして今後養育費を支払っていくのかどうかが問題となります。

 

そしてDNA鑑定の結果、子供は和也さんと血縁関係にあると明らかになりました。これが判明すると、次はお子さんの年齢を確認します。不貞行為かどうかを明らかにするためです。

 

結果、ミカさんと和也さんの婚姻期間は8年で、お子さんは3歳でした。つまり不貞行為であり、和也さんの主張も嘘であったことがわかります。

 

こんなことが判明すれば訴訟へ踏み切る方も多いものですが、ミカさんは過去を追及したい気持ちよりも、これからどうなってしまうのかという不安でパニック状態でした。

 

とにかく、認知はしないでほしいと泣いていました。

 

折衝の末、相手方は最終的に「自分で育てていくので、むしろ認知はしないでほしい」という考えに落ち着きました。

 

認知が生じないとなると、今度は養育費を支払う根拠がありません。これまでに払っていた400万円についても、どうして支払ったお金なのかやはり説明がつきません。

 

そこで、認知はしないが「将来万が一認知が生じた場合には、養育費として支払いをしたことを確認する」と合意し、本件を解決することができました。

 

ちなみに子供の生活費・養育費は、夫婦の基礎収入から計算することが通例です。

 

◎義務者の基礎収入✕(子供の生活費指数÷〔養育費を支払う親の生活費指数+子供の生活費指数〕)=子供の生活費

 

ただし養育費の算定にあたっての収入は、和也さんが自営業であることから、賃金収入を得ている方よりも大きく計算されます。

 

ミカさんは、不貞行為の事実よりもとにかく息子への影響が心配であったことから、不貞相手へ慰謝料請求等はしませんでした。「正当な養育費相当分であれば早く支払って、早く終わりにしたい」、そんなご希望をお持ちであったことが印象に残っています。

 

お子さんへの愛情はもとより、和也さんにぞっこんだからこそ、こういった希望を強くしているのだな、とよくわかる事件でした。

 

 

齋藤 健博

銀座さいとう法律事務所 弁護士

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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