(※写真はイメージです/PIXTA)

「不倫」「浮気」「離婚」「セクハラ」……銀座さいとう法律事務所には、今日も有象無象のトラブルが舞い込みます。本連載では、齋藤健博弁護士が実際に寄せられた事例をもとに、男女の法律問題を解説していきます。

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社長の夫から突然、「300万円持ってきてほしい」

相談者は、古尾ミカさん(40歳/女性・仮名)です。ミカさんは、夫の和也さん(45歳・男性/仮名)が夜な夜な家から出ていき、外で誰かと電話していることを気にかけていました。

 

和也さんは土建会社を営む社長です。電話をしていること以外では、帰宅が遅いというような不審な様子もなかったので、「怪しい電話」を特別疑っているわけではありませんでした。それよりも、悩みの種は不登校気味の小学生の息子さんだったといいます。

 

古尾家は3人で同居生活を送っていました。ミカさんは彼にぞっこんで、生涯で交際したのは彼だけであり、一生幸せに連れ添っていくものだと思っていたそうです。

 

そんなある日、急転直下の出来事が起こります。和也さんから突然、驚きの頼み事をされたのです。

 

「300万円持ってきてほしい」

 

どういうことだ…?と若干パニックになりながらも問い詰めると、事情を説明されました。以前の交際者から、子供の養育費を請求されているというのです。しかもその子というのも、認知はしていないながら、和也さんとの間の子だそうです。

 

相手がミカさんとの婚姻前に交際していた女性なのか、婚姻後に不貞関係にあった女性なのかはこの時点ではわかりませんでした。

 

和也さんはミカさんと息子との生活を壊したくないと考え、元交際者との話し合いを秘密裏に進めていました。300万円を支払うことでおさめようとしていて、既に「もうまもなくまとまる」段階にあったようです。

 

当然、ミカさんは凄まじいショックを受けました。こんなまさかの出来事、仲のよいママ友にも打ち明けられません。どうしたらいいかわからなくなって弁護士への相談を決めました。

 

事務所で話を聞いていくと、和也さんは元交際者へ毎月現金で小遣いを渡しており、その額だけですでに400万円に達しているということも判明しました。

 

和也さんの電話を気にしていながらも、不倫を疑ってはいなかったことについて、ミカさんは「完全にわきが甘かった」と語っていました。

 

今の精神状態で不安定な息子とうまく向き合えるか、相続等はどうなるのか、そしてこれは不貞行為なのか…など、尽きぬことのない問題を前に憔悴しきっていました。

次ページ早く終わりにしたい…「認知と養育費」問題の行方

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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