質問力を上げるには通常の10倍注意深く聴く
■素朴な疑問がしたたかな質問に変わるとき
では、どうやって話を聞き出していくのか。まずは、ゲストの方が話した内容を、普通に聞く聴き方の10倍以上注意深く聴きます。
話されたゲストの方は、「話したから、はい、おしまいね」という感じになるところを、よく聴くことで、まずはクエスチョンマークが生まれます。それが、ポイントでした。相手の話を聴いて、「何だろう?」と引っ掛かりを探すみたいなことです。
たとえば、「ドラマの撮影の合間に釣りに行くのが唯一の楽しみでした」と俳優さんがお話しされたら、「釣り行くんですか? 何を釣るんですか?」なんて聞くわけです。すると、「湖でブラックバスを釣りました」と言われたら、「ああ、そうですか」となり、「この人は釣りが好きなんだ」ということで、普段はそれで話が終わります。
そこを、「ちなみに、その釣りに行くとき、音楽は何を聞いているんですか?」という質問をすることで、また新しい情報を視聴者の方にお届けできるわけです。僕が新しく聞いた質問からです。そういうことを目指していたわけです。すごく地味な作業でしたが、ゲストから新しい情報を知ることができ、それを視聴者は「おもしろい!」と思うわけです。この小さな喜びを、僕は大切にしたいと思いました。
生放送ですから、当然ある程度、時間と台本も決まっているので難しい作業でした。しかし、結局、映画の番宣でしたら、出演者の方は同じ話をするので、そうすると「またこれか」と視聴者は思います。そこで、うまく脱線させると、「ああ、おもしろいな」と視聴者は思うわけです。
大河ドラマが始まるというときには、出演する俳優さんたちに、「ちなみにセリフは、家で覚えているんですか? 外ですか? 車の中ですか?」と聞きます。「お風呂ですか?」と聞いたこともありました。
そうすると急に、「僕、家で一切読まないから」という人が出てきます。「えっ? じゃあ、全部現場で覚えているんですか?」と聞くと、「そうだよ」と答える。僕と視聴者は「へー!」となるわけです。
俳優の方はそういう舞台裏の話を進んでしません。なかなか、聞き出せないのです。なかにはもう、「家の駐車場で2時間、3時間、車の中で一人で集中して、セリフを覚えきって家に入ります」という方も。
「なるほどね」と思います。「家族がいてなかなか時間が取れないから、駐車場で集中して覚えて、家に帰るんだ」と聞いて、「すごい!」と思うのです。こうした、一つ踏み込んだ情報を聞き出したいという気持ちが強かったです。
ビビる大木