22年は波乱含み、テーマを絞った投資戦略を
22年の中国株相場は波乱含みの展開になりそうだ。北京冬季五輪や共産党大会を控え、経済・政治・社会は安定運営が求められる中、消費を中心とした景気減速リスクや人民元安、米テーパリングに伴う海外勢の資金引き揚げなど、思わぬリスクもあるだろう。
上海総合指数は3,300~4,000pt、深セン成分指数は12,000~18,000pt、ハンセン指数は20,000~29,000ptと比較的幅広いレンジでの推移を予想する。前半は様子見、年後半にじり高というイメージだ。
中国の景気冷え込みを受け、中国人民銀行(中央銀行)は21年12月20日、1年8カ月ぶりの利下げに動いた(最優遇貸出金利LPRの1年物を3.85→3.80%に0.05ポイント引き下げ)。
同15日には預金準備率を引き下げており、緩和的な金融スタンスは22年も継続すると思われる。資金需給がひっ迫しやすい春節(旧正月、22年は2月1日)前後に預金準備率の追加引き下げの可能性も否定できない。
中国株は一般的に「緩和=株高」となりやすい。ただ、今回は景気減速感(利下げを迫られるほど景気が悪い)が意識され、中国・香港両市場共に大きく売られた。今後、人民元安が進み、米テーパリングに伴う海外資金の流出などが伝われば相場の重しともなり得る。「金融緩和が相場の後押し材料!」と楽観論一本で行けないところは何とも悩ましい。
22年前半は北京冬季オリパラ(2~3月)や全人代(3月予定)を無難に通過することが優先され、株価や景気対策は後回しになるかもしれない。それでも、秋に予定される共産党大会に向けて政策相場のムードが高まろう。
21年12月の中央経済工作会議で決まった「減税・手数料削減策の実施」「インフラ投資の適切な前倒し」などに加え、金融機関による不動産企業へのつなぎ融資などが行われれば、景気後退リスクが払しょくとは言わないまでもやや和らぎ、相場に好影響を与えそうだ。香港市場では米上場企業の回帰上場が一定の起爆剤になるだろう。
投資戦略としては、相場全体よりも投資テーマを見極め、個別株・セクターの値動きを注視していきたい。注目分野は、国策である「共同富裕」の進展、新エネルギーが中心の脱炭素、話題先行気味で投資熱が盛り上がっているメタバースなどが挙げられる。
奥山 要一郎
東洋証券株式会社
上海駐在員事務所 所長
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