(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍に収束の兆しがみえつつある現在、今後は個人消費や企業の生産活動が回復していくと期待されています。一方で、オミクロン株の流行等で再び経済活動が停滞してしまうリスクもくすぶっています。こうした不透明感の強い2022年の日本経済の見通しについて、各種データを紐解きながらみていきます。

Q4のGDPはプラス成長に転じる見込み

2021年Q3は、前期比年率3.6%減と、2四半期ぶりのマイナス成長となった。東京で7月12日に発令された緊急事態宣言は8月に対象地域を拡大し、9月末まで継続された。

 

このためサービス消費を中心に個人消費が減少した。さらに、供給制約を要因として輸出や企業設備投資もマイナスとなった。

 

緊急事態宣言の解除、ならびに感染者が激減したことを受け、Q4のGDPはプラス成長に転じる可能性が高い。

 

感染第6波がなければ、サービス業を中心に消費の着実な回復が期待される。企業の設備投資も緩やかな増加傾向となろう。供給制約も徐々に解消に向かうことが期待される。経済規模は2022年Q3にはコロナ禍前(かつ消費税増税前)の2019年Q3の水準を回復すると予想する。

 

出所:CBRE,Q3 2021
[図表6]GDPの直近実績ならびに予測 出所:CBRE,Q3 2021

 

一方、景気が期待を下回るリスク要因として、資源価格の高騰と円安が懸念される。いずれも多くの日本企業にとってコストの増加を意味する。資源価格の代表格である原油価格は8月から10月末にかけて15%近く上昇し、同期間中に為替レートは4円以上の円安となった。

 

これらを主因に輸入物価は9月に前年同月比31%上昇。他方、コア消費者物価指数は9月に1年半ぶりにプラスになったとは言え、同+0.1%にとどまる。最終消費財の値上げが依然として困難であるなか、原材料価格の上昇により企業の収益性が悪化することが懸念される。

 

また、11月末に確認された新型コロナの変異ウイルス「オミクロン型」が、景気回復に対する新たなリスク要因として浮上した。世界保健機関(WHO)は11月26日に同変異株を最も高い警戒レベルに分類。

 

11月末現在、感染力やワクチンの効果なども依然として不明である。しかし、もし日本政府が再び緊急事態宣言など行動制限を課すことになれば、経済回復がさらに遅れるリスクがある。

 

 

シービーアールイー株式会社(CBRE)
 

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※本記事はダラスを本拠とする世界最大(2019年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社シービーアールイー株式会社(CBRE)の「不動産マーケットアウトルック 2022」より一部抜粋・再編集したものです。
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