政策金利は5.5%に
■メキシコ銀行(中央銀行、中銀)は12月16日に金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き上げ5.5%としました。中銀による利上げは今回で5会合連続となります。大方の予想は0.25%の利上げでしたが、高水準のインフレに加えてタカ派に転じた米国の金融政策も考慮し、金融引き締めのペースを加速させた格好です。
インフレは20年ぶりの高水準
■11月のメキシコの消費者物価指数は、前年同月比で7.37%の上昇となりました。変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数でも同5.67%の上昇となり、20年ぶりの高水準となりました。
■高騰が続くインフレや米国をはじめとする諸外国の金融政策も考慮し、中銀は今後も金融引き締めを継続するものと思われます。弊社では、メキシコの政策金利は、来年末までには6%まで引き上げられるものと予想しています。
新中銀総裁の動向に注意
■米国の景気回復を背景とした経済活動全般の正常化に加え、資源価格の高騰や金融引き締めを受けた短期金利の上昇などが、引き続きメキシコペソにとって追い風となりそうです。
■ただし、今年12月末に任期が切れる、中銀総裁の後任人事には注意が必要です。ロペスオブラドール大統領が指名した後任の現財務副大臣ビクトリア・ロドリゲス氏は、政治的に大統領と近しい人物と言われていますが、これまで財務省では目立った活躍はなく、金融政策でも特筆すべき経験がないことから、中銀総裁としての手腕は未知数と言えそうです。今後の政策運営を通じて中銀の独立性や通貨の番人としての市場の信認が揺らぐようなことがあると、メキシコの金融市場に動揺が走る可能性があり注意が必要です。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『メキシコ中銀が予想を上回る0.5%の利上げ』を参照)。
(2021年12月20日)
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