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遺留分を侵害されている相続人が、遺留分を侵害している他の相続人に対して行う「遺留分減殺請求」。その後、和解が成立し、取得する相続財産に増減があった場合は、改めて相続税の手続きをしなければなりません。どのような手続きが必要か、みていきましょう。

相続税の更正の請求書を提出する際の注意点

相続税の還付手続きには、還付申告書と更正の請求書の2種類あります。

 

還付申告書とは、贈与税の特例(相続時精算課税制度)を利用して先に納めていた贈与税の還付を受ける申告です。税務署は、贈与税の申告が提出された際に一度内容を確認しているため、比較的早期に還付を受けることができます。

 

一方、更正の請求書は、相続税の申告で納めた税金の還付を受ける申請です。

 

更正の請求書が提出されてから、税務署は請求内容を確認しますので、すぐに還付金を受け取ることはできません。

 

税務署から相続税の還付がされるのは申請してから数ヵ月後

相続税の更正の請求書では、税務署内の決裁処理が完了しないと還付はされませんので、還付されるのは更正の請求書を提出してから1~4ヵ月後になります。

 

また、更正の請求内容が認められた場合には、税務署から承認通知書の送付がありますが、通知書の送付は月1回しか行われません。

 

税務署が還付金の振込手続きを行うタイミングは、通知書の受領が確認できてからなので、通知書を受け取りが遅れると還付金の振り込みがさらに遅くなります。

 

他の相続人が修正申告書を提出していない場合には還付が遅くなる

相続税は、亡くなった人(被相続人)の総遺産に対して課税します。

 

各相続人が提出した申告書や更正の請求書の計算が異なっている場合、税務署は還付を保留し、全員の申告内容を確認します。

 

確認後、更正の請求書の申告内容が正しければ相続税は還付されますが、還付される時期は更に遅くなります。

 

更正の請求書の計算誤りがあれば必ず指摘を受ける

更正の請求は、税務署の職権で申告内容を訂正依頼する申請です。

 

そのため、税務署は更正の請求に対して「認容」・「一部認容」・「否認」のいずれかの判断をして、その結果を通知します。

 

更正の請求書の内容が正しければ認容されますが、一部でも内容誤りがあれば、「一部認容」または「否認」の判断が下され、申請した通りに相続税は還付されません。

 

また、税務署の判断によっては更正の請求書の提出自体を撤回させ、再度更正の請求書を提出させる場合がありますので、更正の請求書の計算は申告書以上に適切に行うことが重要です。

遺留分減殺請求により相続税の修正申告をする場合

遺留分減殺請求の和解成立の翌日から4ヵ月以内に修正申告書を提出・納税しない場合には、延滞税が発生します。また、期限を過ぎても修正申告書を提出しなかった場合には、すぐに税務調査が行われる可能性がありますので注意が必要です。

 

和解成立から4ヵ月以内に申告・納付しないと延滞税が発生する

原則として、申告期限を過ぎてから相続税納付をした場合には、延滞が発生します。

 

しかし、遺留分減殺請求の和解が成立した場合には、その翌日から4ヵ月以内に修正申告・納税を行えば延滞税は発生しません。

 

なお、当初相続財産を何も取得していなかった人が、遺留分減殺請求の和解成立により申告義務が発生した場合についても、4ヵ月以内に期限後申告書の提出・納税を行えば、加算税・延滞税は発生しません。

 

修正申告書にも和解調書のコピーを添付する必要がある

通常の修正申告書には、法定添付書類以外の書類の添付義務はありません。

 

和解の成立により修正申告書を提出・納付をした場合には延滞税は発生しませんが、その際には和解成立を証明する書類の提出が必要になります。

 

もし、和解を証明できる書類を提出しない場合には、通常の修正申告書と同じ扱いとなり延滞税が発生しますので注意してください。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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