全銘柄を現金化し、経済の動向を見極める
2015年6月から8月、ギリシャショックや中国株の大幅下落をきっかけに、世界同時株安の懸念が起こりました。
中国株は6月末の時点ですでにバブル崩壊とも言える株の下落が始まっていましたが、そこに原油価格の一層の下落や米国の利上げ観測なども加わって、日経平均もニューヨーク・ダウも大きく下落しました。
このときどのような投資行動を取ったのか、資金30万円を元手とした「30万円コース」での実例で説明していきましょう。6月末で第一弾の売り、8月末で第二弾の売りと、段階的に現金化を推進しました。
①6月末の第一弾の売り
<売り推奨をした日>
2015年6月30日
<保有銘柄と売り推奨株価>
●アルプス電気(6770)3865円/100株(6月30日の高値は3885円、安値は3705円)
●ソニー(6758)3656円/100株(6月30日の高値は3750円、安値は3430円)
②8月末の第二弾の売り
<売り推奨をした日>
2015年8月24日
<保有銘柄と売り推奨株価>
●野村ホールディングス(8604)764.2円/300株(8月24日の高値は777.7円、安値は725円)
●スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)3055円/100株(8月24日の高値は3145円、安値は2805円)
●ネクソン(3659)1697円/100株(8月24日の高値は1757円、安値は1450円)
<売り推奨をした理由>
2015年6月末までは順調に資産を積み上げることができてきましたが、ギリシャ問題が6月末に再度勃発し、利益確定などを急ぐために、第一弾の売り推奨を行いました。ここで、アルプス電気などの利益を確定しているのが大きなポイントです。利益を確定していれば、余裕を持っていられるからです。
その後、中国株の暴落、米国利上げ懸念などで7月から8月には相場が大きく変わる節目となり、深刻化を増してきました。
一旦、2万円を回復した日経平均も8月21日には再び2万円を割れ、同日のNYダウも暴落。世界同時株安懸念が高まってきたため、暴落懸念への対応策として8月24日にも現金化の第二弾を推進しました。
☆藤村コメント・・・6月30日のギリシャショック以降、8月24日までで段階的に現金化を推進。世界的な金融緩和で異常状態は徐々に解除の方向に進みました。今後、世界経済がどのような方向に進むか見極めるため、この「30万円コース」だけでなく、投資アドバイスを行っているすべての資金コースで全銘柄の売却を指示しました。
<その後の展開>
1カ月以上、株価が低迷を続ける不安定な相場となりました。日経平均の動きで見ると、8月24日の終値は1万8540円と1万9000円を割ってしまい、その後一時は1万9000円台を回復したものの、再び下落し、9月29日には1万7000円台も割れて終値で1万6930円を付けました。
しかし、すでに全銘柄を現金化してあったため、不透明な値動きにも慌てることなく、状況の推移を見守ることができました。
潮目が変わったのは、10月2日の米国の雇用統計の発表です。雇用者数の伸びが予想を下回ったことから、「年内の利上げリスクが後退した」という認識が広がり、株式市場はある程度の落ち着きを取り戻しました。
懸念事項がある場合は「スピーディな判断」を
<まとめ>
今回は、世界同時株安の懸念があったため、とにかく現金化を急ぎました。こういうときには、スピーディな判断こそが資産を守ります。
10月以降も、世界的な株価急落のきっかけのひとつとなった中国の景気減速懸念自体は払しょくされたわけではありません。
しかし、直近の米国利上げが見送られる可能性が高まり、利上げによって新興国から資金がさらに引き上げられ、世界的な株価暴落という懸念がひとまず収まったため、10月5日には新たに買い推奨を行いました。
なお、2015年12月16日には米国の利上げが決定し、12月17日から政策金利は9年半ぶりに引き上げられています。
「世界同時株安懸念」で株価はどう動いたのか。ここでは、本文で取り上げた5銘柄の中から、代表としてアルプス電気とソニーの株価チャート(2015年6月30日〜12月30日まで)を見てみましょう。
[図表1]アルプス電気
[図表2]ソニー