環境問題、高齢化が「次世代自動車」の発展を後押し
最終回となる今回は、自動車業界を取り上げたいと思います。昨今は、「若者の自動車離れ」なども言われていますが、新しい技術がどんどん取り入れられている分野で、現在も日本の基幹産業の一つですから、投資先としては今後も目が離せないと考えています。
注目したいのは2つの分野。まず一つは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車など、環境に配慮した「次世代自動車」関連です。環境問題は世界的なテーマですから、次世代自動車の開発はこれからも続いていくでしょう。
また、もう一つは、危険を察知すると自動的に車が停止する「安全運転支援」、もしくは完全に自動で運転できる「自動運転車」に関わる分野です。
「自動運転車」については、高齢化社会が進む中で「自動車は必要だけれど運転は難しい」といった高齢者のニーズが高まっていくのではないかと考えられます。もちろん、自動運転によって交通事故の発生を抑えるというメリットも期待されるでしょう。
「安全運転支援」はすでに一部の車種に投資され実現している技術ですが、「自動運転車」のほうは現状ではまだ開発の途中です。
完全な自動運転車の実用化は法改正の問題もあるため、まだ先になると見られますが、法改正がなくても実現可能な高速道路での自動運転に関しては日産自動車(7201)もトヨタ自動車(7203)も早い段階での実用化をすでに表明済みです。
日本企業以外にも注目できる銘柄があり
では、2つの注目分野で期待できる具体的な銘柄には何があるでしょうか。
まず、「次世代自動車」関連では、アルプス電気(6770)や村田製作所(6981)などを挙げたいと思います。電気自動車や水素などの燃料電池車は、エンジンではなくモーターで車を動かしますから、従来の部品メーカーではなく自動車の電装化に強い電子部品メーカーに注目する必要があります。
一方「自動運転車」関連では、自動運転に関わる技術があり、現在、自動運転車の開発に力を入れている米国のグーグル社に自動運転関連の技術を提供している企業などが注目されています。
たとえば、車載用の半導体を手掛けるルネサスエレクトロニクス(6723)、走行データの分析や車に搭載したソフトの検証を行うベリサーブ(3724)、自動で安全に走行するために欠かせないセンサー技術を持つ北陸電気工業(6989)など。
この先、また別な銘柄が挙がってくる可能性は十分にあります。続けてウォッチしていけば、そうした銘柄のニュースにもすぐに気づけるのではないでしょうか。
なお、日本企業ではありませんが、電気自動車の分野では中国のBYD(比亜迪股份有限公司)(01211)も注目できる銘柄の一つと考えています。もともとは電池メーカーとして大手企業ですが、電池事業で培った技術を生かして自動車事業に参入。現在は、ハイブリッド自動車や電気自動車の開発に取り組んでいます。