大手以外のベンチャー企業にもチャンスあり!?
法律の改正によって、2016年4月から電力の小売りが完全自由化されます。これまで、一般の消費者は地域ごとに決められた電力会社から電力を購入するしかありませんでしたが、今後は選択肢が広がって自分で好きな事業者を選択できるようになります。
すでに60社以上(2015年11月末時点)が、小売電気事業者として経済産業省などの審査を通過済みです。その中には、東京瓦斯(東京ガス)(9531)などのガス会社や三井物産(大手商社なども含まれています。
また、東京電力(9501)とソフトバンク(ソフトバンクグループ)(9984)が、2016年4月以降に電力と携帯電話のセット販売を行うことを発表したり、楽天(4755)と丸紅(8002)が楽天のモール出展者向けの電力の小売りで提携したりといった動きも活発化しています。
さらに、電力小売り自由化をビジネスチャンスととらえて、新しいサービスを投入してくるベンチャー企業も出てくるのではないでしょうか。
電力の規制緩和の一環である電力小売り自由化は、今後何かにつけて話題になることは間違いないでしょう。この動き自体については、投資家であれば常に注目しておいたほうがよいと考えています。
現時点では「スマートグリッド関連銘柄」に期待
ただし、電力小売りに参入する側の銘柄が投資先として有望かというと、まだ未知数といったところでしょう。
どの企業がどの程度の契約を取るのかもわかりませんし、サービスや価格の競争に巻き込まれてなかなか利益に結びつかないこともあり得ます。小売電気事業者については、投資をするかどうかということより、まずは継続的にウォッチを続けておくようなイメージが正しいと言えるかもしれません。
電力改革関連では、現時点ではスマートグリッド(次世代送電網)の関連銘柄のほうがより注目できるのではないかと私は考えています。
スマートグリッドとは通信技術を組み合わせた送電網のことで、通信ネットワークを使って電力の需要と供給のバランスをリアルタイムで制御することによって、効率よく安定した送電を可能にする仕組みです。
スマートグリッド関連の銘柄としては、日立製作所(6501)、三菱電機(6503)、住友電気工業(5802)などの大手電機メーカーがまず挙げられます。しかし、企業規模が大きいためスマートグリッド関連だけで株価がどこまで動くのかという疑問はあります。
また、スマートグリッドにはスマートメーターと呼ばれる通信機能を備えたデジタル電力量計が欠かせません。スマートメーター関連では、電力会社にスマートメーターを供給している大崎電気工業(6644)や東京電力系の東光高岳(6617)などが挙げられます。
これまでも、折に触れ注目されてきたスマートグリッド、スマートメーター関連の銘柄ですが、電力の小売自由化を契機に、引き続き注目を集めていく可能性が高いと期待しています。