少額で投資できる銘柄も多い中国株
銘柄を乗り換えながら利益を積み上げていき、資産の合計が100万円を超えてきたら、中国株への投資を検討してみるとよいでしょう。
たとえば資産総額の10%以内、たとえば100万円なら10万円以内、500万円なら50万円以内を中国株に振り分けます。あくまでメインは日本株投資ですが、「スパイス」として中国株への投資も加えるというイメージでしょうか。
目的は、投資の可能性を広げることにあります。中国株の中には、数万円以下と少額で投資できる銘柄がたくさんあります。一方で、少額で買えるような銘柄が何倍、何十倍と大化けするケースも少なくありません。
スマホ向けアプリを手がけるネットドラゴンは保有期間1年3カ月で約4倍に、インターネットサービス大手のテンセントは保有期間6年7カ月で約40倍に株価が上昇しました(その後の上昇局面まで保有していれば、株価はなんと140倍以上になりました)。もし10万円を投資していれば、ネットドラゴンは40万円に、テンセントならなんと400万円に資産が増えるわけです。
ポートフォリオの中に、「当たればデカイ」中国株を少しでも組み入れておくことで、日本株以上に大きく資産が増えて、次のステージに早くコマを進めていける可能性が生まれるのです。
このように書くと、「資金30万円から投資を始めるときに、最初から中国株を買えばよいのではないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、資産100万円までは着実に増やしていかなければいけない時期です。資金の少ない段階では、中国株で大化けを狙うよりも、日本株でしっかり増やしていくことを優先させてください。
日本株安、円安のリスクヘッジとしても有効
ところで、資産の一部を中国株に振り分けることは、「国際分散投資」という意味でも有効だと考えます。すべての資産を日本株に集中させると、日本株全体が下がったときには値下がりリスクが非常に高くなります。投資先の国を分散させることで、そうしたリスクをある程度抑えることが可能になります。資産が多くなればなるほど、国際分散投資という考え方は持っておいたほうがよいでしょう。
さらに、中国株は究極の「円安メリット株」とも言えます。中国株に投資することで、円安傾向になればなるほど、為替差益も期待できます。日本で買いやすい海外の株式には、ほかにも米国株があります。国際分散投資の意味では、米国株に投資するのもひとつの手と言えるでしょう。ただ、私が運営する投資顧問サービスで扱っていないため、本連載では取り上げていません。
中国の場合は、世界で最も人口が多く、減速傾向とは言え他の国と比較して高い経済成長率を維持し続けています。そのため、爆発的な成長を遂げる企業も少なくなく、前述のような大化け株に出合う可能性が高いことがメリットです。
なお、細かいことですが、日本と香港(香港市場)の時差は1時間ですから、米国株を取引きするときのように昼夜逆転で相場に向かう必要もありません。最後に注意点を一つ。すでに述べたとおり、中国経済は減速傾向にあり、また2015年の中国株はバブル的な上昇→大暴落といった不安定な値動きになりました。
今後も、中国株が好調のときもあればそうではない場合もあるでしょう。そこで、中国市場がどうも不調だというときは中国株のウェイトを落とし、逆に日本に比べて中国の経済のほうが好調だというときにはウェイトを少し上げるといったように、状況に合わせた対応を取るようにしてください。経済も株価も生き物ですから、「10%以内」という数字にとらわれ過ぎず、柔軟に対応していって欲しいと思います。