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保険資金によるREIT投資に関する調査が実施される
先般、中国の不動産大手・中国恒大集団の経営危機により不動産市場が揺れると報じられる一方、中国における私募ベースの類REIT及び今年上場したインフラ公募REITは、比較的安定した配当実績が出ていることから、投資家から注目を集めている。
2021年6月21日に上場したインフラ公募REIT第一弾9銘柄に続き、第二弾2銘柄が11月19日には機関投資家向け、29日には一般投資家向けに売り出された。
しかし、中国REITに関する機関投資家の情報は十分とは言えないことから、中国保険資産管理業協会は、保険業によるREITへの投資実態と課題を把握するために、2021年9月に、「保険資金によるREIT投資に関する調査」を実施し、その結果が公開されたので報告する。調査結果からは、保険業のREITへの投資意欲が強いことが示された。
保険業へのアンケート結果からみたREIT投資の現状~約3割は投資済み、投資額は発行規模の1割超、残る7割も強い関心
同調査は、中国国内の保険会社、保険資産管理会社※に向けて実施されたものである。内訳は保険会社は48社、保険資産管理会社は26社であり、計74社の回答に基づいている。回答した会社の運用資産を規模別にみると、500億元(約8,500億円)未満が28社で最も多く、次いで3,000億元(約5兆円)以上が21社と続く[図表1]。
※ 中国銀行保険監督管理委員会の統計データによると、2021年6月末時点で、中国国内で営業展開している保険会社は計205社(うち保険グループ13社、財産保険(損害保険)87社、再保険14社、人寿保険(生命保険)75社、養老保険9社、健康保険7社)、保険資産管理会社は計30社、その他輸出取引信用保険1社、農村保険互助3社、保険業合計で239社になる。
74社のうち、現在、既に中国REITに投資しているのは22社で約3割を占める。他の52社は未だ中国REITに投資していないが、「とても関心がある」と回答している。
既にREITに投資している22社をみると、投資額は5億元(約85億円)未満が19社で、8割以上を占める[図表2]。
一方、2021年6月に上場したインフラ公募REIT 9銘柄の公開情報を調べたところ、8銘柄において、保険業は戦略的投資家として関与している。中国証券監督管理委員会の定義によると、戦略的投資家とは、同業界または関連業界で強力かつ重要な戦略的リソースを持ち、株・証券の発行者と長期的な共通の戦略的利益を求め、上場する株・証券の大部分を保有する意思がある投資家を指す。つまり、株・証券の発行者の競争力とイノベーション能力を大幅に強化し、産業技術のアップグレードを推進し、収益性を大幅に向上させることが、戦略的投資家が果たすべき役割である。
インフラ公募REITの戦略的投資家である保険会社・保険資産管理会社6社をみると、泰康人寿保険有限責任会社は3銘柄を保有し、投資額は約14億元(約240億円)で最も多い。次いで中国平安人寿保険株式有限会社は1銘柄を保有し、投資額は約9億元(約160億円)、大家投資持株有限責任会社は1銘柄を保有し、投資額は約5億元(約85億円)、中国保険投資基金※は5銘柄を保有し、投資額は約4億元(約70億円)と続く。
※ 有限責任パートナーシップ企業(有限合伙企业)である。
これら6社における平均投資額は約5.6億元(約96億円)、合計は約33.4億元(約573億円)であり、投資金額はインフラ公募REIT 9銘柄の合計発行規模314億元(約5千億円)の1割を超えている。一般の機関投資家の情報は公開されていないが、前述の調査結果では既にREITに投資している保険業は22社であることから、それらの投資額を合算すると、保険業によるREITの投資割合はさらに高くなると考えられる[図表3]。