「はい」「いいえ」の2択で答えさせる“リスク”
「はい」と答えられるAさんの意欲は引き出されるかもしれません。しかし他の生徒からは「いいえ」という答えと、「誰が手を挙げるのかな」「賢い△さんが答えるかな」という、教科内容以外の興味を引き出しかねません。また、「教わってないんだから、知るわけないじゃん」という反発を引き出す可能性もあります。
どのような機能を持つ質問を使うかは、授業や面談の質を大きく左右します。場面や相手の状況に応じて工夫してみましょう。一つの参考として[図表1]を活用してください。これを参考に独自の分類表を作ってみるのもいいでしょう。
また、質問には、[図表2]のように、浅い/深い、強い/弱いがあります。
①「いいと思っているの?」「やる気はある?」といったクローズドクエスチョン(Yes/No質問)
②「なぜ?(どうして? なんで?)」という行動や結果の理由を問いただす質問
これらは、強い質問の典型です。その強さゆえに相手にとって「詰問」となり、拒絶・反発を引き起こすリスクが高まります。
教師「頑張ろうっていう気持ちはあるの?」①
児童「はい」
教師「でも、最近宿題ができてないよね?」①
児童「はい」
教師「それでいいの?」①
児童「よくない」
教師「なんで宿題ができないんだろう?」②
児童「忘れてしまって……」
教師「どうして忘れるんだろう?」②
教師が良かれと思って投げかける一つひとつの質問が、児童にとっては痛いパンチになるのです。特に、「強い×深い」質問は、ダイナミックな観点の転換や行動変容につながることもありますが、リスクも大きくなります。十分考慮した上で発する必要があります。
小山 英樹
株式会社対話教育所 代表取締役
一般社団法人日本教育メソッド研究機構(JEMRO) 代表理事
一般社団法人日本青少年育成協会(JYDA) 会員