※画像はイメージです/PIXTA

できれば避けたい、相続税の税務調査。「書面添付制度を活用すれば、税務調査に入られる確率を下げることができる」とよく耳にしますが、本当なのでしょうか? 相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の竹下祐史税理士が解説します。

「書面添付制度」の2つのメリット

相続税申告において書面添付制度を活用することによる直接的なメリットは以下の通りとなります。

 

1. 意見聴取によって税務調査が省略となるケースがありえます。

2. 意見聴取の中で申告内容の誤りが判明した場合、税務調査が行われる前に自主的に修正申告を行えば加算税がかかりません(この場合でも延滞税はかかります)。

 

ただし、上記1について言えば、筆者の感覚ではありますが、意見聴取だけ行われて税務調査が省略されること自体、無くはないものの、非常に稀ではないかと思われます。意見聴取の対象となった時点で、税務署側は税理士が知らない申告漏れ等の可能性に関する情報まで持っていることが多く、これについて意見聴取の場で解決する可能性は低いからです。

 

また上記2についても同様で、意見聴取の中で(税務調査が行われる前に)、申告内容の誤りが判明するケースは稀ではないかと思います。税務署がこの段階で誤りを指摘する可能性は低いからです。

 

否定的なことを書きましたが、上記1、2のメリットを受けられるケースはゼロではありません。また、以下のようなメリットも考えられます。

 

書面添付を提出するのであれば、例えば、被相続人(及び場合によっては相続人)の過去の預金口座や証券口座の動きを調査・検証したうえで、調査内容と結論を記載しておきます。こういった情報を提供しておくことで、税務署担当者に、「しっかりと調査したうえで作成された申告書」という心証を与え、調査対象の選定に影響がある可能性があります。

 

■まとめと補足

今回は相続税申告における書面添付制度について説明しました。この制度はそもそも「納税者」というより、「税理士の権利の一つ」として位置づけられています。メリットについて正しく理解したうえで活用していくことがポイントになります。税理士には相談者に正しい情報を提供していくことが求められます。

 

なお、今回のテーマである相続税以外の、法人税や所得税においても書面添付制度がありますが、顧問先に長年関与して、顧問先のことを深く理解している税理士が作成する添付書面は、相続税における書面添付より大きな意義があると思われます。

 

 

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