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相続税の税務調査で、税務署は亡くなった人(被相続人)の生前の財産状況を調べます。では何年くらい遡って調べるものなのでしょうか。みていきましょう。

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金融機関は取引履歴を10年間保管する義務がある

金融機関は法律上、取引履歴を10年間保管しなければなりません。ですので、通帳を紛失・処分した場合でも、金融機関に申請すれば取引履歴を確認することができます。

 

被相続人の預金履歴が確認できるのは相続人にとってメリットですが、税務署も同様に預金履歴を確認することができます。なぜなら、税務署は法律によって金融機関を調査する権限が与えられているので、相続人が通帳を開示しなくても、被相続人の情報を入手できるからです。

税務署が預金の移動状況を把握する手段

税務署が相続税の税務調査をする上で、どのように預貯金の移動状況を把握するかについて説明します。税務署が預金の流れを掴む方法は、3種類あります。

 

税務署は金融機関の情報を入手する権限を持つ

税務署は、全国の金融機関を調査することができます。調査権限は法律で規定されており、金融機関は預金残高や取引履歴の開示を拒むことはできません(相続税の調査権限は、国税通則法第74条の3)。なので税務署は、被相続人の取引していた金融機関を把握していれば、10年分の預金の移動はいつでも調べられる状態にあります。

 

ただ、実際の調査で税務署が最初から金融機関の情報を知っているとは言いません。なぜなら、知らないふりをすることで、重加算税の対象になるかを見極めるからです。

 

確定申告書の内容も相続税調査の情報源

税務署は、情報収集にも余念がありません。相続税の申告財産は、被相続人が生前に蓄積した財産です。財産の蓄積状況を掴むために、被相続人の所得税などの申告書からも情報を収集します。

 

所得税の申告書で集められる情報としては、還付金の振込口座や株式売買をしている証券会社などがあります。税務署は金融機関名がわかれば、その情報を元に金融機関に調査できるので、手掛かりとなる情報を常に探しています。

 

国外送金の事績は法定調書で確認できる

近年、海外資産を保有している人や国外送金する人が増加していますが、税務署は金融機関からの国外への預金の送受金の事績は把握しています。なぜなら、金融機関は税務署に対して、法定調書を提出する義務があるからです。

 

法定調書とは、法律で提出義務がある資料をいいます。国外送金であれば、100万円を超える国外送受金の手続きを行った金融機関は、その情報を法定調書に記載し税務署に提出しなければなりません。法定調書として提出された資料は、税務署の調査などの資料として活用しますので、国外に資産を送金しても、税務署はすぐに見つけることができます。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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