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相続税の税務調査には富裕層だから入られるというわけではありません。入られやすいケースがあります。みていきましょう。

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相続税の税務調査の種類と特徴

税務署の調査といえば、自宅に訪問して財産を調べる調査(実地調査)を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、実地調査の他にも調査手段は存在し、大きく分けると3種類に分類されます。

 

自主的な申告内容の修正を促す「行政指導」

「行政指導」とは、税務署が納税者に対して、自主的な申告や申告内容の修正を促す行為です。あくまでも自主的な行動を促すための指導行為なので、行政指導は法律上の調査には該当しません。

 

法律上の調査との違いは、申告内容を修正した場合の加算税の税率です。行政指導による申告は自主申告扱いとなりますので、調査による修正申告よりも加算税の税率が軽減されます。

 

指摘事項が確定している場合に行う「実地調査以外の調査」

「実地調査以外の調査」は、税務署が電話や来署依頼によって申告指導をする行為です。実地調査以外の調査は法律上の調査に該当しますので、指導方法以外は実地調査と同じ扱いです。

 

実地調査との違いとしては、実地調査以外の調査は税務署が調査事項を限定して指導するため、調査による税務署からの拘束時間が比較的短い点です。

 

税務署が自宅に来て1日中調査をする「実地調査」

税務署の調査と聞いて一般的にイメージされるものは、「実地調査」によるものです。実地調査は税務署職員が自宅や職場を訪れ、申告書作成に関係する資料や話を聴取し、申告内容の是非の確認をします。

 

相続税の調査の場合、税務署は2人1組で調査を行い、担当者1人で実地調査に来ることはほとんどありません。また、実地調査では1日中調査をしますので、実地調査の日は終日税務署の対応に追われることになります。税務署が調査事項を解明すれば、訪問したその日で調査は終了しますが、調査事項が解明されない場合には、税務署職員が何度も自宅に来ることもあります。

相続税の税務調査で誤解されている3つの事実

世間の税務調査のイメージと、実際に税務署が行う調査にはいくつか相違点があります。相続税は富裕層しか調査対象にならないと思われていますが、相続税額が少額の方でも調査対象となるので注意が必要です。

 

相続財産の金額と調査を受ける確率は関係ない

富裕層が提出した相続税の申告書が調査対象になりやすいのは事実であり、国税庁は富裕層への調査を重点課題と掲げています。しかし、富裕層の調査が重点課題とはいえ、一般層への調査をおろそかにしているわけではありません。

 

税務調査には、不正申告を抑制するための牽制の意味合いもあります。ですので、税務署がすべての申告に対して調査することはありませんが、不適切な申告があれば少額の相続税であっても調査及び申告指導を行います。

 

税務署は相続税の無申告を調査の重点課題としている

相続税は平成27年に基礎控除額が大きく引き下がり、課税対象となる人が大幅に増加しました。平成26年中に亡くなった人で、相続税の課税対象の割合は4.4%。一方で、平成29年中に亡くなった人の相続税の課税対象の割合は8.3%と、課税対象者が倍近く増加しました。

 

富裕層の人は相続税の申告が必要だと認識しているので、無申告になることはほとんどなく、相続税の無申告の多くは一般層です。そのため、調査によって期限後申告と追徴課税の支払いを行わなければならなくなる人は少なくありません。それらの状況を踏まえて、国税庁は富裕層への調査と同様に、無申告者に対しての調査も重点課題として掲げています。

 

税務署の調査は論理的で言い逃れはできない

税務署は、強引な方法で調査をすることはありません。以前の国税組織では、強引な調査をしていた部署も存在しました。しかし、平成25年に税務調査の調査方法が法律化され、それ以後は法律に従って基づいた調査手順を遵守して行っています。

 

そのため、税務署が突然調査のために自宅に来ることはほとんどありませんし、一方的に修正申告を提出させるような行動もしません。税務署が強引な調査を行わなくなったことは、申告する側にとっては良い事です。

 

ただ一方で、法整備がされたことにより、調査が厳格化しました。昔なら曖昧で終わった調査事項についても、白黒はっきりするまで税務調査は終わりません。

 

また、税務署は万が一裁判になっても負けないように理論武装を施しますので、感情に流されることはありません。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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