(写真はイメージです/PIXTA)

相続人同士が不仲だと、むしろこちらから「税務調査を招く」行為をしてしまう方がしばしばいらっしゃいます。どんな関係性であっても、気をつけるべき「相続財産の申告の仕方」について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・天野清一氏が解説していきます。

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    「相続人が各自で相続税の申告を行うのは危険?」

    相続税の申告のやり方には、相続人1人1人が別々に申告書を作成して提出する方法と、1通の申告書に全員で署名して提出する方法があります。

     

    ただ、別々に申告する場合でも、それぞれの申告書には相続人全員が、各々何を相続したのか、すべて記載する必要があります。

     

    たとえば、相続人が長男と次男であれば、長男は長男で自分が相続した財産も、弟が相続した財産も書かなければなりません。次男は次男で、自分と兄が相続した財産をすべて書いて申告します。申告先は、いずれも亡くなった方の住所地を管轄する税務署です。税務署では、それぞれの相続人から、送られてきた申告書を1つずつ照らし合わせて、内容をチェックします。

     

    さて、別々に申告書を作成する場合、通常は、内容をよく打ち合わせてから作成します。そうしないと、財産の総額が兄と弟で違う、ということが起こってしまうからです。相続の内容は同じなのですから、当然、申告する財産の総額も1円単位でぴったり一致するはずです。

     

    ところが、相続人同士が不仲だと、そうはいきません。

     

    それぞれが好き勝手に申告したり、別々の税理士に依頼して申告書を作成したりすることがあります。いくら税理士に依頼しても、相続に関しては、財産の額がぴったり一致する、ということはたいへん稀です。

     

    特に形がいびつな土地があると、評価額が1円単位で一致するなどということはまずありません。

     

    そうして財産の総額が合わない申告書が作成されてしまったら、税務署が見過ごすはずはありません。税務調査がやってくる可能性は、当然高くなります。

    「とりあえず自分だけでも申告しておこう…」に要注意

    打ち合わせをしないで申告するという行為は、むしろこちらから「税務調査に来て下さい」と言っているようなものです。相続税の申告書をそれぞれで提出するときは、必ず内容を一致させてください。

     

    もし遺産分割の段階で揉めているときは、まずは遺産分割をしっかり調(ととの)えましょう。遺産分割ができていない場合にも、その状態のまま、相続人全員で正しく申告することは可能です。

     

    「とりあえず、申告期限が来る前に自分だけでも申告しておこう」と考える方もいらっしゃるかも知れませんが、そのような時は一度、税理士にご相談ください。

     

     

    ■動画でわかる「相続人が各自で相続税の申告を行うのは危険?」

     

     

     

    天野 清一

    税理士法人・都心綜合会計事務所

     

     

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