【折衝のもつれでデベロッパーが放置】「綾瀬」駅東口
JR常磐線「綾瀬」駅東口の「サンポップビル」が解体されてから数年が経過しましたが、この空き地には一体何ができるのでしょう。同ビルでは、かつて多くの地元住民に親しまれた「サンポップ・エトセトラ綾瀬」や「東京マリアージュ」が営業していました。
サンポップ・エトセトラ綾瀬はファッション・グルメなどの専門店が集約されたショッピングモールで、地域に欠かせない商業施設でした。一方の東京マリアージュは年間約100組のカップルが結婚式・披露宴を挙げる結婚式場で、その他、小規模の会合や法事などの地元需要が高い施設でした。
サンポップビル跡地は2015年に大手マンションデベロッパーが買収、総戸数350戸程度の分譲マンション建築が予定されていました。しかし、もともとはショッピングモールで賑わった場所であり、何より駅前の一等地です。
地域住民からは「すべて住宅でなく、低層階には店舗を入れて欲しい」という要望が上がりました。地元自治体の足立区もその意向を汲んでデベロッパー側に折衝したものの折り合いが付かず、デベロッパーは建築計画を全面凍結し、土地はそのまま放置されることになったのです。
数年間放置された空き地問題が動き出したのは2020年のことでした。地域住民から東口開発案についての意見・要望を吸い上げながらデベロッパーとの交渉を重ねていた足立区が、デベロッパーからマンション用地の一部を買い受けることを決断したのです。
これにより、敷地の一部を交通広場として整備し、建物の低層階に商業施設や保育施設などを入れる旨、区とデベロッパーとの間で覚書が交わされることになりました。地域住民の要望が盛り込まれた新たな駅前ビルの完成は令和7年春の予定です。
まとめ
今回は自治体から具体的な事業計画が発表されている3ヵ所の駅前空き地について紹介しましたが、この他にも、全国には開発事業が頓挫したまま放置されている広大な空き地が多数存在します。
放置されてしまう理由には、自治体の予算不足やデベロッパーの利権絡み、住民の反対運動、遺跡の出土などさまざまあるようです。これらの諸問題が解決して再開発事業がはじまるとなれば、周辺の不動産価値も大きく変わってきます。ある意味、事業が頓挫している間は投資家にとって安値買いのチャンスの時期といえます。
駅前再開発事業の進捗情報は、新聞等のほか自治体のホームページでも紹介されていますので、駅前で長く放置されている空き地や廃墟ビルを見つけたら、まずはそれらの媒体をチェックしてみることをおすすめします。
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