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もはや狭小ワンルームは「投資の戦力外」なのか?
平成期のワンルーム投資では、15~19m2程度の狭小タイプが主流でした。都心にある個人宅や町工場跡地をマンションデベロッパーが安く仕入れ、法が許す限り戸数の多い賃貸マンションを新築し、投資家たちに分譲します。部屋の面積が狭いぶんグロス価格は低く抑えられているので、不動産投資の初心者も「ローリスク」と判断して躊躇なく購入していたようです。
このような「ワンルーム商法」は不動産業界で一大ブームとなり、街中に細長いエンピツ型のワンルームマンションが増殖していきました。しかし、昔からの地元住民とワンルームに住む若い賃借人たちとの融合は難しく、新参者によるルール違反を訴えられるようになります。
それに加え、一部不動産業者による強引な販売営業が原因で、半ば無理やり買わされた素人投資家のローン破綻が急増するなど、「ワンルーム商法」自体が社会問題として取り沙汰されるようになりました。
これには行政側も目を瞑るわけにいかず、自治体ごとにワンルームマンション開発抑制のための条例が設けられるに至ります。ちなみに東京都内の自治体の多くは、「15戸以上の一棟マンションを新築する場合、1戸の最低面積を25m2以上にすること」を義務付けています。そのため10m2台の新築ワンルームは激減し、ワンルームマンションの主流は「25m2以上」となっていったのです。
昨今のテレワークニーズにより、多くの単身ビジネスマンは「もう一部屋の余裕」が持てる新居を求めて30m2以上・1LDK以上の賃貸マンションへと移っています。10m2台の賃貸物件は退去が増えるばかりで新規入居者がなかなか決まらず、売買市場においても売れ残り感が顕著です。稼げない、売れない10m2台狭小ワンルームは今後どうなってしまうのでしょう?