※画像はイメージです/PIXTA

相続税の小規模宅地等の特例を適用して宅地の評価額を大幅に引き下げるには、所定の期限までに遺産分割をして相続税の申告をする必要があります。一度相続税の申告をすれば、基本的には、更正の請求(払い過ぎた税額の返還請求)で小規模宅地等の特例を適用することはできません。ただし、必要な手続きをしている場合や一定の事情がある場合では適用できることもあります。みていきましょう。

特例を適用しようとした宅地が適用要件外だった場合

小規模宅地等の特例を適用して相続税を申告したものの、その宅地が適用要件を満たさず特例の対象でなかった場合は、特例を適用していないことになります。

 

したがって、更正の請求で他の宅地を選択してその宅地が適用要件を満たしていれば、小規模宅地等の特例を適用することができます。

遺留分減殺請求を受けて宅地の取得者が変わった場合

遺留分とは、被相続人の配偶者、子、親(祖父母も含む直系尊属)が相続人である場合に最低限受け取れる遺産の割合のことです。遺言などで遺留分に満たない遺産しか受け取れなかった人は、他の相続人に対して不足分を請求することができます。これを遺留分減殺請求といいます。

 

遺留分の減殺請求を受けた人は、相続財産を明け渡すか金銭で支払う必要があり、相続した宅地の取得者が変わることもあります。原則として、更正の請求で小規模宅地等の特例を適用する宅地を変更することはできませんが、遺留分減殺請求という相続に特有の事情があれば変更が認められます。

 

民法の改正で遺留分減殺請求は金銭で支払うことに

従来、遺留分の減殺請求を受けた人は、相続した財産を明け渡すことが原則でした。しかし、2019年に施行が予定されている民法の改正では、金銭で支払うことに変更されます。つまり、遺留分減殺請求を受けても相続した宅地の取得者が変わることはなく、更正の請求で小規模宅地等の特例を適用する宅地を変更することもなくなります。

 

当初申告の土地評価に不安がある場合は税理士に相談するのがベター

原則では、一度申告をすれば更正の請求で小規模宅地等の特例を適用することはできません。ここまで紹介してきた分割見込書を提出しているケースや、宅地が適用要件を満たしていなかったケースは、あくまで例外です。

 

しかし、当初申告をご自身や相続税に詳しくない税理士が行っており、土地の相続税評価そのものに不安があるという場合は相続税に詳しい税理士に相談しなおしてみると小規模宅地等の特例以外の部分で更正の請求を行える可能性はあります。

 

土地の相続税評価には減額要素が多数あり、相続税の知識がない場合高く評価してしまいがちだからです。当初申告の土地の評価に不安がある場合は相談してみると良いでしょう。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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