境界などをめぐる近隣紛争、稼働率の低下・・・
前回の続きです。
(4)土地の境界等に関するリスク
隣地の所有者あるいは占有者からの境界確認書など境界を確定させる書面が取得できない場合や、境界標の確認ができないまま不動産を取得する場合には、後日、境界に関する紛争や所有敷地の面積の減少、損害賠償責任の負担など、これらの不動産について予定外の費用や損失が発生する可能性があります。
同様に、越境物の存在により、不動産の利用が制限され賃料に悪影響を与える可能性や、越境物の除去費用等の追加負担が発生し、投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性もあります。
(5)収入及び支出に関するリスク
一般的に投資法人の収入は、投資法人が取得する不動産等の賃料収入に主として依存します。賃料収入は、不動産の稼働率の低下等により大きく減少する可能性があるほか、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額されることなどにより減少する可能性があります。
また、退去するテナントへの預かり敷金及び保証金の返還、多額の資本的支出、不動産の取得等に要する費用など不動産に関する支出が状況により増大する可能性もあります。
また、賃貸借契約において、賃貸借契約が更新される際の更新料、敷金の一部を借主に返還しない旨のいわゆる敷引、契約期間中に賃借人が解約した場合の違約金に関して敷金・保証金の没収について規定することがありますが、このような規定は状況によってはその全部または一部が無効とされ、その結果、投資法人に予定外の収入の減少や費用負担が発生する可能性があります。
管理会社の業務遂行能力によっては収益悪化の可能性も
(6)PM会社に関するリスク
一般に、建物の保守管理、テナントの管理を含めた不動産の管理状況等の良否は、建物を管理するPM会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、投資法人においても、管理の良否及びその結果としての収益性の確保について、PM会社の業務遂行能力に大きく依拠することになります。
投資法人が、PM会社を選定するにあたって、その候補業者の資質・経験・ノウハウを慎重に考慮し、十分な能力をもつ業者を資産運用会社に選定させる場合でも、選任に関する調査は完全であるとは限らず、選定されたPM会社における人的・財産的基盤が優良である保証はありません。
また、仮に選任時点では優良であってもそれが将来にわたって維持されるとの保証もありません。PM会社の業務遂行能力に大きな変化があった場合やPM会社が交替する場合などには、不動産の管理状況が悪化し、収益の悪化等により投資法人が損失を被るおそれがあります。