「マンション→戸建て」は、むしろ“ステップダウン”
そして、認識していただきたいことの2つ目が、
「普通の性能のマンションから普通の性能の戸建に移ることはステップアップではない!」
ということです。
かつて、昭和の時代に、「住宅すごろく」という言葉がありました。地方から単身上京し、単身アパートから、結婚して2DKのアパート、賃貸マンション、分譲マンションとステップアップしていき、最後は、庭付き一戸建てであがり!というものです。
だいぶ過去の概念になりつつあると思っていたのですが、そうでもないようです。当社に相談に来られる方も、マンションから戸建に移ることを単純にステップアップだと思っている方がまだまだ多くいらっしゃいます。
ところが、実際の暮らしの快適さや光熱費負担を考えると、「普通の性能のマンション」から、「普通の性能の戸建」に移ることは、生活の質という観点から考えると、むしろステップダウンになるケースがほとんどです。
マンションは、一般的にRC造(鉄筋コンクリート造)です。そして、住戸の位置にもよりますが上下・左右に住戸があり、中住戸であれば外気にさらされている面はバルコニー側と玄関側の2面だけです。それに対して、戸建住宅は6面(地面を除けば5面)が外気にさらされています。断熱をキチンと行っていない戸建住宅の性能は、マンションのRC造にはどうしても劣ります。
そのため、マンション時代の暮らしに比べて、冬は寒く、夏は暑く、冷暖房光熱費に多額の費用が掛かり、ヒートショックリスクにさらされる不健康な暮らしになってしまうのです。
もちろん、戸建住宅には戸建住宅の良さがあります。ですが、戸建住宅に移って、生活の質を向上させようと思うのならば、断熱・気密性能にこだわることが必須条件です。くれぐれも、「普通の戸建住宅に移ること=ステップアップ」ではないのだと心に刻んで、住まいの計画を立てていただきたいと思います。
高橋 彰
住まいるサポート株式会社 代表取締役