(※写真はイメージです/PIXTA)

患者の増加が社会問題化しているうつ病。復職を目指す場合のサポートは、病院ではなく地域のデイケアセンターが担うことになります。しかし、精神医療における病院とほかの機関との連携は進んでいないと言わざるを得ません。その現状について、医療法人瑞枝会クリニック・院長の小椋哲氏が解説していきます。

「復職デイケア」…利用しなければどうなるのか?

また、あまり多くはありませんが、医師に連携の意欲はあっても、リハビリ施設の担当者にこうした意欲が乏しい場合もあります。この場合は、医師側が働きかければ、スタッフの意識が変わることは多いので、大きな問題にはなりにくいと考えます。

 

私自身も、初めてつながる施設に対してはそのようにお願いをしていますが、こうした要望を伝えている医師は珍しいようで驚かれます。

 

最初はおっかなびっくりでも、医師が患者の状況に関心をもち、スタッフが迷った場合に相談できる存在となることで、スタッフは安心できます。そして、それまではあまり気にとめていなかった患者の様子にも気がつくようになってくれ、意欲的に情報を共有してくれたり、意見を言ってくれるようになるのです。

 

また、医師と情報共有したスタッフが、さらに別の職種のスタッフとも連携してくれることもあり、頼もしい限りです。

 

ところで、近隣に利用できる施設がないなどの事情で、復職デイケアを利用しないまま、復職を目指さざるを得ない場合もあります。そうなると医師本人が職場と連絡を取らざるを得ません。私も経験がありますが、これはなかなか大変な仕事ですし、診療報酬の対象にもなりません。

 

多くの医師は「そこまでできない」と、患者とその家族に職場との連絡を任せることになります。

 

 

小椋 哲

医療法人瑞枝会クリニック 院長

※本連載は、小椋哲氏の著書『医師を疲弊させない!精神医療革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

医師を疲弊させない!精神医療革命

医師を疲弊させない!精神医療革命

小椋 哲

幻冬舎メディアコンサルティング

現在の精神医療は効率重視で、回転率を上げるために、5分程度の診療を行っている医師が多くいます。 一方で、高い志をもって最適な診療を実現しようとする医師は、診療報酬が追加できない“サービス診療"を行っています。 こ…

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