借り手としては「低利で長く借りる」のが基本!?
●第3の審査基準 返済方法
収支ズレの「運転資金」の場合は、いつ頃代金が入ってくるのか、手形で回収するのか、
などをはっきりさせておかなければならない。ちなみに、銀行の融資形態には「手形貸し付け」「証書貸し付け」「ローン商品」の3つがある。
「手形貸し付け」は、銀行に当座預金口座を開き、経常運転資金ならそこから3カ月手形を支払先に振り出し、期日になったら金利分だけ支払って書き換えていくものだ。バブル崩壊後には、手形を回収して書き換えを認めないケースが続出し、それで多くの企業が倒産した。
「証書貸し付け」は、金銭消費貸借契約書を作成し、融資額、金利、返済条件などを決めて貸し付けるものだ。返済条件については交渉次第であり、例えば当初3カ月は据え置きで、その後2年間は毎月均等返済といった具合だ。借りる側としてはできるだけ低利で、できるだけ長く借りるのが基本となる。
定型パッケージの「ローン商品」では、貸付金利、融資上限、返済方法、返済年数などがあらかじめ決まっており、審査も定型化されている。
「銀行のメリット」も融資審査では重要に
●第4の審査基準 担保の有無
かつて、銀行は「事業金融」といって、融資先企業の事業内容や財務状態を調べた上で、短期の運転資金を無担保で貸し付けていた。しかし、バブル期に増えたのが「担保金融」だ。設備投資だけでなく不動産投資などのための長期融資として、企業の保有資産や経営者の自宅などを担保にして、都銀が積極的に手がけた。
現在も、基本的に短期の運転資金であれば無担保、長期の投資資金であれば担保が必要である。ただ、短期の運転資金についても担保を取って根抵当をつけ、一定の限度額の範囲内で何度でも融資を受けられる形を勧める銀行も多い。
●第5の審査基準 銀行側のメリット
具体的には、社員の給与振り込みを自行に移すとか、社員に提携カードをつくってもらうとか、経営者の個人資金を預金してもらうとか、いろいろなケースがある。特に銀行が喜ぶのが、売上回収金や社員の給与振り込み、財形貯蓄などの指定をとることだ。
自行に開設された口座にその会社の様々な資金が入ることになり、銀行が持つお金の流動性が高まる。また、社員の住宅ローンも銀行は喜ぶ。住宅ローンを借りた銀行をメインバンクにする人が多く、銀行にとっては流動性の高い資金が集まってくることとなるからだ。