(※写真はイメージです/PIXTA)

ベトナムは2021年4月末の新型コロナ第4波で大ダメージを受け、政府は感染拡大予防対策でロックダウンを実施。最も厳しい状況だったホーチミン市では経済が完全に停止しましたが、10月1日より徐々に規制緩和されています。規制緩和後1ヵ月間の不動産市場の動きを振り返りながら、今後の展開を考察します。南部ホーチミンを拠点とし、不動産ビジネスを展開する徳嶺勝信氏が解説します。

購入者拡大を狙い、デジタルプラットフォームの活用も

以上のように、ホーチミン市とハノイ市も含め、今年の残り第4四半期以降は多くの投資家(開発会社)は購入者を拡大するため、デジタルプラットフォームを活用し、オンライン販売も実施しています。それ以外にも、マーケティング戦略への投資、販売促進、購入契約サポート、支払い期間の延長、銀行と提携した低金利融資、投資家(開発会社)による引渡までの金利負担…等々、多くの財政支援を提供しています。

 

これらを後押しするように、政府は新型コロナ禍での経済政策のなか、不動産開発で問題となっている法の矛盾点の解決をはじめ、プロジェクト許認可の簡素化・規制緩和(解除含む)に取り組んでおり、公共事業を含むインフラ整備においても、多くの事業が動き出します。

 

反面、政府からの経済政策も含め、多くの公共事業や経済支援での予算拡大によるインフレが懸念されているほか、不動産事業者による購入支援の充実とは別に、マンション(アパート)価格の上昇がみられます。

 

最も消費者にニーズのある手頃な価格(1,000USD/m2以下)のマンション(アパート)の供給は減少していますが、逆に、ミドルエンド、ハイエンドクラスの供給が増加しています。

過剰供給に注意、外国人投資家は一層の慎重姿勢を

来年以降は多くのマンション(アパート)の新規物件が市場に投入されることになりますが、果たしてどれくらいの個客が購入にまで至るのでしょうか。この売れ行きにより、過剰供給なのか、それとも適正供給なのかが判断されることになります。当然、過剰供給の場合は賃貸価格、物件価格の低下を招くことを十分注視する必要があります。

 

筆者の見解ですが、現在でも賃貸物件は過剰気味であり、コロナ禍による外国人の入国制限の影響はもとより、すでに自国へ帰国した外国人が、果してこれまでのようにベトナムに戻るのかどうか疑問です。

 

とくに外資企業は、外国人の勤務者を抑制し、現地ベトナム人を外国人ポストに揃える「現地化」の動きを加速させています。したがって、外国人の賃貸需要は限られた地域やプロジェクトに集中することが予測され、従来のような物件選びではインカムは期待できなくなります。外国人投資家は、ベトナムでの不動産投資を一層慎重に考える時期にあるといえます。

 

 

徳嶺 勝信
VINACOMPASS Co., Ltd.
General Director

 

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