世間からの「信頼」を悪用…銀行による外貨建て保険販売の呆れた実態【朝日新聞の若手記者が暴く】 (※写真はイメージです/PIXTA)

売手数料の高さから、銀行などが積極的に勧誘している「外貨建て保険」。商品性が難解なこともあり、契約後トラブルに発展するケースも少なくありません。今回紹介する70代後半の伊藤俊子さん(仮名)もその1人です。高齢者を中心とした外貨建て保険のトラブルが取りざたされる一方で、契約が途絶えない理由とは。朝日新聞経済部でかんぽ生命の不正販売問題も担当した柴田秀並氏が、「銀行だから大丈夫」という世間のイメージを悪用した、銀行の呆れた実態を暴きます。※本記事は、柴田秀並氏の著書『生命保険の不都合な真実』から一部抜粋・再編集したものです。

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「契約無効」を求め1ヵ月以上…退けられた訴え

「どれだけ損をするかわからない。解約するしかないのか」

 

不安に押しつぶされそうな伊藤さんを長女はなだめた。なぜなら、外貨建て保険は設定した満期の前の一定期間内に解約すれば、「解約控除」として多くの金額が積立金から差し引かれ、それこそ「元本割れ」してしまうからだ。

 

長女は、外貨建て保険のパンフレットを見ながら、為替リスクや手数料などを改めて説明してみた。すると、伊藤さんはほとんど理解していないと判明した。

 

「あまりにも基本的な情報なのに……。こんな状態で銀行員はどうやって契約させたのだろう」と長女は憤る。

 

それから長女はこの商品を販売した銀行と、保険を引き受ける保険会社に対して、「契約無効」を求める行動を起こした。

 

まず金融庁に電話したが、「うちでは答えられないので」と「生命保険相談所」を紹介された。ここは、生命保険協会が設置した相談窓口だ。保険契約者などからの生命保険に関する相談を受け付け、苦情の解決に向けた支援を行う。

 

長女は当初、銀行側から「保険会社には言わないでください」と「お願い」されたという。だが、生保相談所からは「銀行の要求に従ってはいけない」との助言を受けた。

 

長女はその後、生保相談所のアドバイスに従いながら、保険会社や販売した銀行の担当者に直接会い、交渉した。手書きメモなどを見せながら、いかに不適切な説明をしたか、伊藤さんが元本割れなどのリスクを認識していなかったかなどを主張。1カ月以上、交渉を続けた。

朝日新聞 記者

1987年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。2011年、朝日新聞入社。西部報道センター(福岡)経済グループや東京経済部などを経て、21年から東京社会部に所属。保険や銀行、金融庁の担当が長く、かんぽ生命の不正販売問題も取材した。朝日新聞の不定期企画「シニアマネー取材班」の取材メンバーとして高齢者や富裕層のマネートラブルについても追っている。著書に「生命保険の不都合な真実」(光文社)、「かんぽ崩壊」(朝日新書、共著)がある。

著者紹介

連載朝日新聞記者が暴く「外貨建て保険販売」の実態

生命保険の不都合な真実

生命保険の不都合な真実

柴田 秀並

光文社

人の安心を守るために生まれた生命保険が、人の安心を奪う? 中小企業経営者を狙いうちにする「節税保険」や、銀行で販売が拡大する「外貨建て保険」。乗り合い代理店に対する過剰報酬や、かんぽ生命の不正販売問題。 無理な…

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